【専門家の目｜栗原勇蔵】伊東純也の復帰により「攻撃の幅・距離の幅が出る」

日本代表が敵地バーレーンで5-0の快勝【写真：ロイター】

　森保一監督率いる日本代表は、現地時間9月10日に行われた北中米ワールドカップ（W杯）アジア最終予選第2節でバーレーンに5-0で勝利した。初戦の中国戦（7-0）に続く快勝劇で、2戦合計スコアは12-0。日本代表OB栗原勇蔵氏は、森保監督の選手起用を含めた采配を「間違いはなかった」と高く評価している。（取材・構成＝FOOTBALL ZONE編集部） 【実際の様子】森保監督も苦言…大ブーイングの中、国歌斉唱する日本代表 　　　◇　　　◇　　　◇　　　 　日本は9月5日に埼玉スタジアムで行われたアジア最終予選初戦の中国戦で、MF南野拓実が2ゴールを挙げるなど7-0と快勝。勢いに乗ってアウェーの地バーレーンへ乗り込み、中国戦からスタメン1人を代えてMF鎌田大地を起用した3バックシステムで臨んだ。 　日本はボールを握るも攻めあぐねたなか、前半37分にFW上田綺世のPKで先制。そして後半の立ち上がりに上田が2点目を決めると、MF守田英正も2ゴールを奪取する。さらに、途中出場のFW小川航基も後半36分にダメ押しゴールを決めて5-0とした。 　ボール支配率76.1％対23.9％、パス本数607本対188本、シュート本数14本対3本（うち枠内9本対1本）とバーレーンを圧倒。最終予選最初の2試合で見ても、合計12-0と数字は文句なしと言えるだろう。 　今シリーズでは、MF伊東純也とMF三笘薫の代表復帰が大きな注目を集めた。とりわけ、中国戦で1得点2アシスト、バーレーン戦で1アシストと、途中出場で起爆剤としての存在感を示した伊東の存在は大きいと元日本代表DF栗原氏は語る。 「伊東が入ると、縦の突破が増えて、攻撃の幅・距離の幅が出るので、相手も守りづらくなる。（10番の）堂安（律）は縦というより中なので、中を固めた相手には苦戦する。森保監督は（バーレーン戦で）すごく早い判断でいい交代だったと思います。堂安は前半から唯一リズムに乗れていなくて、相手に裏を取られるシーンもあった。後半開始から伊東に代えて、すぐに得点も取れた。あの追加点がなかったら、ずるずると1-0で推移する展開になっていたかもしれない」 　栗原氏は、「大事な（W杯最終予選）2戦目だし、終わってみれば誰が出ていても勝てたのでは、という感じだけど、あのメンバーで間違いはない」とし、「（メンバーを）代え過ぎて試合に臨む大会でもない。こういうメンバーでいかないといけない試合で結果も出た。途中から出た選手がどれだけ変化をつけられるか求められるべきなかで、いい試合だったと思う。結果を出した時は称えられるべきだと思います」と森保監督の手腕を評価した。 「三笘が出てくると分かっていれば2枚つけてくるし、堂安が出てくれば中で挟み込むというのも分かる。伊東が出れば、相手も伊東シフトを敷いてくる。伊東が良くなければ、堂安を使えばいい。三笘と中村敬斗は同タイプなので、左サイドよりも右サイドのほうが変化を出せると思います。森保監督もW杯最終予選は2回目。かなりの経験を得て、選手たちのレベルアップも素晴らしく、指揮官と選手の力の融合が素晴らしい。これでアジアの上位クラスを圧倒したら、いよいよ世界を目指すレベルだと思います」 　サウジアラビア、オーストラリアという強豪と対戦する10月シリーズの采配にも注目が集まる。 ［プロフィール］ 栗原勇蔵（くりはら・ゆうぞう）／1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。