今までで一番難しい問題…松下洸平”牧野”が向き合うリアルとは? ドラマ『放課後カルテ』第4話考察レビュー
松下洸平主演のドラマ『放課後カルテ』(日本テレビ系)が放送中。本作は、小学校に赴任した口も態度も悪い小児科医が、類稀なる観察眼で児童の異変に気付き、未来へ向かう子どもたちの背中を押す保険室ヒューマンコメディ。今回は第4話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】松下洸平に癒される…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『放課後カルテ』劇中カット一覧
破壊衝動を抱える生徒の苦悩
『放課後カルテ』(日本テレビ系)第4話は一言で言うと、非常に難しかった。 これまでの『放課後カルテ』では小児科医である牧野(松下洸平)が子供たちの小さな異変を見つけるというのが大筋となっており、1話で登場したナルコレプシーという睡眠障害や2話で出たIgA血管炎などは一般的な保健室の先生ではなかなか発見できなかっただろう。 ただ、この作品は牧野が小児科医だから、児童の病気を見つけることができたという単純な帰結を求めていない。 2日に放送された第4話で扱ったのは、精神疾患だった。6年2組の生徒・水本羽菜(小西希帆)は両親の不仲の影響もあって孤独感から破壊衝動を抱えている。 過去にはクラスで作った七夕飾りを壊してしまったり、その現場を目撃していた藤野一希(上田琳斗)に対しバラされるのではと不安になって川に突き飛ばしてしまうなど、自分自身の行動を制御できないでいた。
手探りで向き合う難しさ
また、破壊衝動は周囲ではなく、自身にも向き、刃物かなにかで足を傷つけた形跡を牧野は見つけている。子供が自ら足を傷つけているのは想像するだけで痛々しいし、心中を慮っても苦しい気持ちになる。土曜21時に放送するには重すぎるのではという懸念もある。だが、だからこそ制作陣から子供の精神疾患と向き合うという覚悟も感じられる。 そもそも精神疾患は外傷と違って、あれをしたからこうなったという原因をはっきりと特定することはできない。羽菜にしても、両親の不仲の影響はあるのだろうが、現時点でこれと決定づけられるような事実は明かされていない。 もちろん、次週以降に明示される可能性はあるが、この手探りで向き合っていくような難しさこそ精神疾患のリアルなのではないだろうか。 多様性の時代と軽々しく言うのも憚られるが、昔に比べると家族の形も多様化している。複雑な家庭で育った人だって珍しくなく、羽菜と自身を重ねてしまった視聴者もいることだろう。 特に思春期であれば、羽菜のような家庭環境になくとも、自分が何に不満で、なぜこんなにイライラしているのか見失ってしまうこともある。それほどまでに子供というのは未完成で、不安定な生き物なのだ。だからこそ、大人は子供の異変に敏感でなくてはならないし、牧野というキャラクターを通してその重要性を教えてくれる。