元日本代表FW鈴木隆行氏「代表メンバー入りに向けてサバイバルが始まった」 8大会連続五輪出場
◆サッカー男子パリ五輪アジア最終予選兼U―23アジア杯▽準決勝 日本2ー0イラク(29日、カタール・ドーハ) U―23サッカー日本代表が準決勝でイラクを2―0で下し、8大会連続で五輪出場を決めた。 日本は、5バックで守備を固めるイラクを序盤から攻め立て、前半28分にMF藤田譲瑠チマ(22)=ベルギー・シントトロイデン=がセンターサークル内から、FW細谷真大(22)=柏=へ絶妙なパスを送り、細谷が巧みにトラップからターンし、右足でゴール右へ流し込んだ。同42分にはFW荒木遼太郎(22)=F東京=が藤田からのパスを冷静に決めて追加点。2点リードで前半を終えると、後半はスコアレスで、2―0で勝ち切った。 決勝戦は5月3日(日本時間4日)に行われ、初の五輪出場を決めたウズベキスタンと対戦する。 元日本代表FW鈴木隆行氏(47)は、先制点を決めて日本に勝利への流れを引き寄せた細谷を称賛した。チームとして五輪出場権を獲得した一方で、個人としてはメンバ入りに向けてサバイバルが始まったことで、決勝戦では、さらなる好ゲームを期待した。 ※※※※※※※※※※※※ 前半28分、細谷の先制点が試合の勝敗を分けたと思う。まず藤田からボールを受ける前の抜け出し方が完璧で、受けた後のターンから素早くゴール右隅に流し込むシュートは高い技術力が必要だった。試合は、日本が支配していたが、得点できずに嫌な流れになりかけていただけに、得点後、チームが落ち着けたことは、かなり大きかった。 前半42分の荒木の2点目は、左サイドを大畑がドリブルで持ち運んだことで、イラクの意識がサイドに向き、中央のマークが緩くなった。ただボールを回しているだけでは相手は崩れない。途中ドリブルが入ることで、相手の対応が難しくなる。このチームは皆がドリブルで持ち運べることが大きな武器となっている。 キャプテンの藤田は2アシストという大きな仕事をしてくれたが、それ以外にも中盤でゲームをコントロールしていた。このチームの中心であることを改めて証明した。俊敏性を上げれば、さらに上のレベルでプレーできる。 課題はイラクに少ない人数で決定機を作られているところか。パリ五輪本戦では相手FWの能力が格段に上がる。個の対応、チームの対応で簡単にシュートを打たせないことが求められる。 パリ五輪の出場権を獲得したが、ウズベキスタンとの決勝戦で、モチベーションが下がることはないだろう。チームとしては、アジア1位になれば、五輪本戦1次リーグで戦いやすいグループに入ることができる。個人としては、五輪は出場できるメンバーが18人と少ないので代表メンバー入りに向けてのサバイバルが始まった。決勝戦は、準決勝以上の好ゲームを期待する。(元日本代表FW)
報知新聞社