【BCクラシック】サンタアニタの借りはデルマーで返す! ウシュバテソーロ、人馬一丸で世界一へ
【サンディエゴ(米カリフォルニア州)10月30日(日本時間31日)=山口遥暉】GⅠ・ブリーダーズC諸競走(日本時間2、3日)に向けての追い切りがデルマー競馬場で行われた。クラシックに出走するウシュバテソーロは、ダートコースを軽快に駆け抜けた。集中力を切らすことなく、体調の良さをアピールした。マイルのジオグリフ、ターフのシャフリヤール、ローシャムパークも順調に調教を消化した。 ◇ 最後まで人馬の呼吸は乱れなかった。昨年5着の雪辱を誓うウシュバテソーロが優等生な走りで最終追い切りを完遂。手綱を取った川田騎手が力強く拳を握った。 「無事に終わったことが一番ですね。きょうに関しては機嫌がよかった。前向きに追い切りを終えてくれたことに皆ホッとして、大きな仕事をひとつ終えた気分です。全部終えてからガッツポーズしました」 カクテルライトに照らされた早朝のダートコースを真一文字に突き進んだ。寒風を切り裂いて5ハロン65秒8。28日には調教中に乗り手を振り落とすハプニングもあったが、この日は悪さをすることなくトレーニングに励んだ。高木調教師も「馬も集中して調教に挑めて、ゴールまでスムーズに行けました。追い始める前のキャンターから集中していましたし、ゴール後もしっかり走れていました」と目を細める。 並々ならぬ集中力の背景にはデルマー競馬場のコース形態が関係している。昨年BCが行われたサンタアニタ競馬場は、調教コースの出口の1つが4コーナーに設置。そのため調教でもレースでも、厩舎に帰ろうと外へ膨らむそぶりを見せた。その点、デルマーはドバイやサウジと同様に2コーナーの引き込み線に出口が設定。鞍上は「周回コースを走っている最中に帰り道はないので、まだ集中できる。調教過程でいらないことを覚えてしまうぶん、覚えずに済むデルマーの方が競馬でも集中して走れるだろう」と期待する。 前走の日本テレビ盃はまさかの2着。国内の連勝記録は6でストップしたが、指揮官は「1回使って調子を上げてくる馬。その通り上がっているなと思います」と前哨戦を叩いた効果を実感する。 「またこうしてデルマーで日本馬が活躍できたらと思いますね」
2021年のBCフィリー&メアターフでラヴズオンリーユーを日本馬初の栄光に導いた名手が視線を鋭くした。サンタアニタの借りはデルマーで返す。人馬一丸となって、忘れ物を取りに行く。