自動操縦システムで動くトラクターを操作する参加者

　佐賀市富士町の農地で、AI（人工知能）などを活用した農業機械による「スマート農業」の実演、体験会が開かれた。高齢化や担い手不足に対応するため同市が主催し、農機の販売などを行うヰセキ九州（熊本県益城町）に委託して行った。（鹿子木清照） 【グラフ】コメの国内需要量と輸出量の推移

　体験会は8日に行われ、地元の農家やJAなどから約50人が参加。ヰセキ九州の社員らが、トラクターに後付けする自動操縦システムや、無線操縦の草刈り機など各メーカーの製品を紹介した。

　自動操縦システムは、トラクターに装備した人工衛星からの信号を受信する「GNSS受信機」などで得た位置情報を基に、あらかじめモニター上に設定した基準線（直線）に沿ってハンドルを自動制御して進む。試乗した地元の農業の参加者（54）は「トラクターをまっすぐ運転するのは難しく、目や神経が疲れる。自動操縦ならお任せで直進するので安心」と喜んでいた。

　農林水産省によると、中山間地にある同町の農家数は、2005年の620戸から20年は471戸と減り続けている。無線操縦の草刈り機の作業を見守っていた男性は「中山間地には傾斜地が多い。安全な場所から無線で草刈り機を操作できるのはうれしい」と関心を寄せていた。

購入補助制度も

　佐賀市はスマート農業推進事業として、22年度から農機購入費用を補助する制度を設けている。

　規模拡大のため新たに農機を購入しようとする集落営農組織や農業法人などが対象。補助枠は22年度が約640万円、23年度は約700万円、今年度は国の交付金も活用して約2690万円に拡大した。補助額は、ドローンと田植え機が上限150万円、トラクターは同300万円。後付けの自動操縦システムの補助額は上限30万円など。