オープンテキスト、「情報の再構築」を中心に据えた日本市場の事業戦略を説明
オープンテキストは11月11日、日本市場における事業戦略を説明した。新代表取締役社長に就任した三浦デニース氏は「日本の顧客に対しては、皆さまと本当に機能するエコシステムを作っていきたい」と意気込みを述べた。 1991年にカナダのウォータールー大学(University of Waterloo)からスピンアウトして設立したOpenTextだが、2024年現在は12万超の顧客を持つという。日本法人も1997年に設立し、企業のDX推進支援や、ビジネスプロセスの自動化、情報の可視化、AIを用いた分析ツールなどを提供している。 三浦氏は2035年までにクラウドやセキュリティ、AIが融合することで、「全てのものが自律的に動く未来」を予見した。AIの業務改革は珍しい話でもなくなり、2026年のグローバル市場は3000億ドル(約46兆円)に達する。本件についても三浦氏は「(AIは)単なるトレンドではない。イノベーションのやり方に劇的な変化が生まれることを意味している。AIは従業員体験から消費者とのやりとり、サプライチェーンの管理、セキュリティツール、そのプロセスインフラストラクチャーから製品開発、ITの運用までビジネスのありとあらゆる側面に変革をもたらす」とAIの価値を訴求した。 しかし、急速な業務変革と個別化はプライバシーを筆頭に各種リスクを生み出しかねない。この点についても三浦氏は「AIは従業員を退屈な作業から解放し、創造性と満足感を得る(企業)文化を育める」と主張している。オープンテキストは顧客企業から預かったデータセットを管理しながら、保護・分析・AI適用で多くの価値を生み出そうと取り組んでいるが、同時に「Information reimagined(情報の再構築)」というキーワードを掲げ、20年以上におよぶAI開発を加速させてきた。 オープンテキストの顧客は日本企業も多く、INPEXはSAPベースで業務データを管理してきたが、SAPと連携して総合的に情報を管理できる「OpenText」を採用した。振替伝票や債券債務に関する伝票を電子化し、処理にかかる時間を年間約4700時間削減している。 NECは効率的かつ柔軟なデータ交換を可能にする次世代電子データ交換(EDI)のコア領域に、企業間のデータ交換を効率化し、サプライチェーンの可視性とコラボレーションを強化する「OpenText Business Network」を採用した。同社はオープンテキストのサポート体制や事業継続計画(BCP)対策が採用の決め手になったと述べている。 オリックス生命保険は、AIを活用してデスクトップやウェブ、エンタープライズ級のアプリケーションまで機能テストを行う「UFT One」を導入した。テスト自動化を全社で推進し、競争力の高い保険商品開発に注力するという。 コニカミノルタではソースコード内のセキュリティ脆弱(ぜいじゃく)性を検出し、修正する「Fortify Static Code Analyzer」を採用。同社が開発する範囲はウェブアプリケーションから自社技術の支援ツールなど幅広いが、Fortify Static Code Analyzerは「Java」や「C/C++」、「JavaScript」など多くの開発言語に対応しているため、開発現場に合致したそうだ。JCBも「OpenText Web」を採用してウェブサイト製作を内製化している。その結果、9カ月で70%の内製化、製作時間の短縮と外部委託コストを半減させた。 NIPPON EXPRESSホールディングスも前述のINPEXと同様に、SAPベースのデータをOpenTextのB2B/EDIソリューションと連携させた電子化に成功している。電子帳簿保存法の対象書類すべてを電子化し、参照や更新といった管理面の業務効率を向上させた。 オープンテキストは2025年2月13日に都内で「OpenText Summit Japan 2025」の開催を予定しているが、三浦氏は「OpenTextの役員が多数来日して、皆さまに情報の再構築やナレッジワーカー(知的労働者)の可能性を高める」とイベントの有意性を述べている。