拝啓・石川雅規様【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第117回
先週の大ニュースといえば、ヤクルト石川雅規投手の今シーズン初勝利でしょう。 プロ野球史上初となる、新人から23年連続勝利という快挙。チームの連敗も(引き分けを挟んで)5で止めた、球界最年長の44歳左腕の勝利はチームに勇気を与えてくれました。 【写真】山本キャスターの最新フォトギャラリー その6月2日の登板では、ストレートの球速は120キロ台が多かったものの、力ではなく技術を駆使したピッチングで5回を完封しました。5回までの雨天コールドでしたが、石川投手にとって9年ぶりの"完封勝利"でした。 年齢とともにパフォーマンスが衰えていくのはアスリートの宿命です。石川投手も、最盛期に140キロ近く出ていた球速は、今では120キロ台がほとんど。そのぶん、相手の打ち気をそぐような変化球で打者を翻弄して、凡打の山を築いていきます。 石川投手を見ていると、プロ野球は本当に面白いスポーツだな、と思うんです。大谷翔平選手のような、見るからに"身体能力の塊"のような選手と、身長167cmと決して恵まれた体格ではない石川投手のような選手が同じように活躍しているからです。 石川投手より球速が速い投手はたくさんいますが、その誰よりも長くプロの一軍で活躍している。大卒にもかかわらず、現役生活23年。それは並大抵のことではありません。 "小さな巨人"、いや、小さくても元気たっぷり、まるで飲み物のヤクルトのような石川投手のすごさはどこにあるのでしょう。私から見た強みのその1は、コントロールのよさです。 ストライクゾーンに投げるだけならできますが、細かくゾーンを分けて、狙ったところに投げ込むのはプロでも至難の業。石川投手はそんなコントロールの正確さを最大の武器にしてきました。 コントロールがいいと、得意な球種だけでなく、他の球種でもコースに投げ分けられるので打者はとても打ちづらいんだとか。石川投手は捕手陣から、「すべての球が勝負球になる」と評価されているそうです。