崖っぷち松坂大輔の黒田化計画は実を結ぶのか?
ソフトバンクの松坂大輔(36)が、来季の完全復活を狙ってドミニカで行われているウインターリーグに参加している。カロリナというチームに所属して、すでに2試合に先発。初先発となった3日のカグアス戦では4回を投げて1安打2失点だったが、6四球と乱れた。13日の2試合目の先発では、5回を3安打1失点、3三振2四球にまとめてゲームを作った。松坂は慣れ親しんだワインドアップ投法からノーワインドアップ投法に変え、ツーシームを多用して、積極的に動くボールを投げ分けるスタイルへのモデルチェンジに挑戦している。 今オフに引退した広島の黒田博樹が、メジャー移籍してすぐにツーシームを覚えて、モデルチェンジに成功、42歳までローテーションを守るほど選手寿命を延ばしたが、松坂の今回の挑戦はその姿に重なる。 3年12億円とも言われる複数年契約の最終年。松坂の賭けは実を結ぶのだろうか。 ここまでの松坂を要所でフォローしてきている評論家の池田親興さんは、こんな見方をしている。 「松坂が、故障する前の全盛期を追い求めても復活は難しいと考えていたが、年齢と今の体の状態に応じた変化球と制球力という新しいスタイルを模索するのは正しい方向性だと思う。黒田が理想のイメージなのかもしれないが、黒田は150キロ近いストレートに、フロントドア、バックドアというキレのいい変化球をコースに出し入れできる精密な制球力を持っていた。 まだリリースポイントが安定せず、制球力のなくなっている松坂は、その部分を求めてノーワインドアップを取り入れたのだと思う。これまではワインドアップから首の動きを使って反動をつけてボールに球威をつけようとしたため、上半身が横ぶりとなり、フォームの上下バランスが大きくぶれて制球を乱していた。ノーワインドアップにしたことで、そのフォームのぶれは少なくなり、制球力のアップにはつながるとは思うが、ボールのキレもキープしながら、どこまでのレベルに変化、進化させることができるかが課題だろう。さらに松坂には、チーム内競争を勝ち抜かねばならないというもうひとつの戦いが待っている。覚悟のシーズンになるのは間違いない」