高校野球 大阪大会にシード制は必要か
東西に分けられている東京では、春の結果を受けて第5シードまであって、第1シードとなれば3回戦からの出場で、優勝まで6試合で済む。大阪では優勝には8試合が必要だ。各都道府県によってシード制が導入された時期は違うが、おおむね好評で、選手への疲労の軽減だけでなく、強豪校以外からも「一回戦でコールド負けするリスクが減った」という意見も出ている。 そう考えると、全国でただひとつ取り残されたシード制無しの大阪府のやり方は、前近代的と言えないこともない。 高校野球ファンからすれば「強豪同士の対決が実現するから面白い」となるのかもしれないが、高校野球は見せるためのプロ興行とは違う(新聞社が噛んで、その要素もなきにしもあらずだが)。 南北に分ける運営方式を維持したいのならば、シード校を選ぶ選考方法に独自の工夫を加える方法もあるだろう。かつてのPL学園や、近年の大阪桐蔭らの活躍で、「シードがないから大阪大会を勝ち抜くことで疲れ果ててしまい甲子園で勝てない」という意見は、今のところそう大きく出ていないが、今後の傾向次第では、シード制採用の議論が再燃する可能性もある。だが、それらを踏まえた上で、後原氏のようにシード制なしの大阪のやり方を支持する声もある。 「私が監督として甲子園に出場したときも、ノーシードからでした。シード制の採用は、強豪校のエゴとも言えるでしょう。教育、公平という原理原則が高校野球の精神としてあるならば、シード制はなくてもいいと考えます。選手の負担を軽くするならば、私はアメリカのNCAAのように、球数の制限や登板間隔の制限など、他にやらねばならないことはあると思います。延長のないタイブレークの導入には賛成する気持ちにはなりませんが」 運命の悪戯で、初戦でビッグカードを実現してしまったがゆえに、シード制の導入という議論の箱を開けてしまったのも皮肉なものである。