日産スカイライン2000GTハードトップのオーナーに聞く旧車生活喜々こもごも「サーフィンラインにこだわる、快適チューンのハコスカ」【昭和の名車 特別編】
いまも旧車業界で絶大な人気を誇る「ハコスカ」
現在発売中のモーターマガジン1月号では、今も走り続ける貴重な名車たちを紹介する新企画「MMヘリテージコレクション 昭和の名車編」がスタート。その記念すべき第1回は、1970年式の日産スカイライン2000GTハードトップが登場。Web版では車両とオーナーにスポットを当てて紹介します。 【写真はこちら】エンジンはいつでも一発始動で安定し、燃費もキャブ時代よりも改善(全12枚) 1968年8月に登場した3代目スカイラインは「ハコスカ」の愛称でお馴染み。デビュー当初は1.5L直列4気筒SOHCエンジン搭載する4ドアセダンとワゴン(エステート)、バンというラインナップでしたが、1968年10月には2L直列6気筒SOHCエンジンを搭載した2000GTを4ドアセダンに追加。そして翌1969年にはセダンをベースに名機S20型エンジンを搭載したGT-Rが登場します。 1970年10月には初のマイナーチェンジを行って、内外装のデザインが変更されます。このタイミングで追加されたのが、今回の取材車である2000GТハードトップ(以下、HT)です。 HTはセダンよりホイールベースが70mm短縮され、全高も15mm下げられています。またAピラーやCピラーの形状、ルーフラインもセダンと異なるので、見た目にもスタイリッシュな印象を受けます。 ちなみに、当時のモーターマガジン誌(1970年12月号)を見ると、スカイライン2000GT HTについて、「尖ったところはなく、扱いやすいクルマ」と書かれているのですが、「ひとたびアクセペダルを踏み込んだ際の加速性能が高く、その二面性がGТの魅力」との記述もあることから、当時からスカイラインはGTカーらしい性能を備えていたことがわかります。 そんな3代目スカイライン、ハコスカですが、登場から半世紀以上たったいまでは旧車人気で価格が高騰。いまや手に入れることが難しくなってしまった名車の一台でもあります。
現代の道路事情に併せて快適チューン
今回紹介するのは、東京都在住の田辺さんが30年以上乗り続けている愛車、1970年式のKGC10型スカイライン2000GTハードトップ(以下:ハコスカ)です。 オーナーの田辺さんは、18歳で運転免許を取得した時からハコスカが欲しくて探していたと言います。しかし、当時は中古車でなかなかいい個体との出会いがなく(あったとしてもオートマが多かった)、最初はジャパン(5代目スカイライン)を新車で購入して乗っていたそうです。 それから歴代のスカイラインを新車で乗り継ぎ、いまから32年前に、自宅の近所に放置されていた「サファリブラウンのレザートップ仕様のハコスカ」を発見します。いまでは考えられませんが、当時15万円で購入したそうです。そこから田辺さんとハコスカのカーライフがスタート。車検時にはサファリブラウンだったボディカラーをガンメタに塗り替えるなどして仕様変更を重ねていきます。 そして、いまから10年ほど前、以前からクルマのメンテナンスをしてもらっていた東京都江戸川区にある旧車専門店・スターロードで、傷んできたボディを治すためにフルレストアを依頼します。 現存するハコスカHTの多くは「GT-R仕様」と呼ばれる純正リアフェンダーを大きくカットしてホイールハウスを拡大、オーバーフェンダーを装着したりGT-Rのバッジを付けた「GT-R風」のスタイルにしていることが多いのですが、この車両は田辺さんのこだわりでリアフェンダーにあるプレスライン、通称「サーフィンライン」を残したまま美しいスタイルを保っているのが特徴です。