旧ジャニーズ今年も紅白出演ゼロ オファーも交渉難航、NHK追加出演交渉せず
19日に行われた「第75回NHK紅白歌合戦」(後7時20分)の出場歌手発表会見では、スマイルアップ(旧ジャニーズ事務所)から分社化された「STARTO ENTERTAINMENT」のアーティストの名前はなかった。NHK側も追加の出演交渉は行わないと明言。2年連続で紅白ステージからSTARTO社のアイドルが消えることとなった。 元キンプリの3人が前列中央で笑顔を浮かべた初出場組の会見にも、41組の出場歌手リストにも、STARTO社所属タレントの名前はなかった。 NHKの大塚信広制作統括は、STARTO社の出演について「ない」と断言した後、「交渉させていただいて、名前が載っていないのは残念に思う」。平静を装ったが、私的な感情を交え、痛恨の思いを吐き出した。 昨年9月。ジャニーズ事務所が創業者・ジャニー喜多川氏の性加害を認めて以降、同局は新規出演依頼を見合わせた。紅白も、44年ぶりに未出場となった。 今年10月16日。被害者補償と再発防止の取り組みなどが進んでいることから、新規起用の再開を発表。同局内でも意見が割れたが、真っ先にグループ数組にオファーを提示。発売3日で最新アルバムがミリオン突破するなど屈指の人気を誇るSnow Manも含まれた。 該当グループは、スタッフやメンバー間で話し合いを重ねた。関係者によると、“国民的番組”に出たい声もあったが、喜多川氏の問題以降同局からタレントが次々と姿を消し、民放含めて最も長く“断絶”したショックを抱えるメンバーやスタッフもいるという。“溝”が埋まらない中、同20日にNHKスペシャル「ジャニー喜多川“アイドル帝国”の実像」が放送された。喜多川氏の問題などが掘り下げられ、タレントすら知らない内容は反響を呼び、再び“傷”はえぐられた。交渉は難航し、当初のグループ以外の出演も打診されたが、辞退に傾いたのは必然だった。 出場歌手発表当日。最大の話題が、未出場のSTARTO社になったのは、皮肉だろう。同社はクリスマスや大みそかに、ライブを中心とした生配信やカウントダウンコンサートの復活を検討している。 紅白を辞退したSnow Manは、以前から「目標」に「国民的アイドル」を掲げる。5大ドームを巡り、アイドル界のトップになった現在も、その志は変わらない。昨年からの“不遇”に「Nスペ」も重なった。昨年の大みそかに、133万人以上が同時接続した生配信の手応えもある。理由はさまざまあれど、「紅白」に出なくても「国民的」になれると踏んだ。その決断は、NHKに重くのしかかる。(田中 雄己) ◆旧ジャニーズ事務所と紅白歌合戦 ▼初出場 1965年に4人組の初代ジャニーズが初出場し「マック・ザ・ナイフ」を歌唱 ▼出場回数 TOKIOが94年から24回連続出場。2位はSMAPの23回、3位の嵐は12回、4位はSUPER EIGHTで11回 ▼最多出場 15、20年には白組の約1/3を占める7組が選出(20年はSnow Manが辞退) ▼司会 97年に中居正広が25歳で初めて白組司会を務めると、その後も含めて計6回担当。その後、嵐がグループで10年から5年連続、15年からは井ノ原快彦、相葉雅紀、二宮和也、櫻井翔(2年連続)が白組司会を務めた
報知新聞社