小島慶子「子どもとニュースについて話してきて良かったこと」
40年前、私たちの親の時代には【子どもがいる世帯は7割】でした。ところが今は【子どもがいない世帯が6割】。社会は大きく変わっているはず? ……と思いきや、給料は上がらないのに物価は上がり、男女の賃金格差と雇用格差はあいかわらず。暗くならざるをえない状況だけど、どうしたら少しでも豊かな人生を送れるのか、家族や友人たちとどう楽しい時間を持てるのか、小島慶子さんと考えていく連載です。 【漫画】家の手伝いは工夫次第で「子どもの主体性を育む育児」になる! 最適なのは意外に難しいアレ
【小島慶子 明日の空模様】
世の中で起きていることについて、ふだん家族と話していますか? ニュースを見た子どもに質問されて、どう答えるべきか悩んだことはありますか。まだうちの子には難しすぎる、政治的な話題は避けたいと考えている人もいるでしょう。 私は、世の中の出来事は生活と地続きだから、家庭で話題にするのは自然なことだと思っています。夫ともよく話すし、家族の食卓でもよく話します。大学生の息子たちはSNSでニュースアカウントをフォローしているので、テレビ電話で読んだ記事について親子で話すことも。息子たちが小学生、中学生のころからの習慣です。 私はニュースの説明だけでなく自分の考えを話しますが、違う考えの人がいることも伝えます。ママの話は不正確かもしれないから、君たちの方が詳しくなったら教えてほしいとも話しています。
話題にするのは、戦争や災害、自然科学やテクノロジーに関すること、新しい法律やそれに伴う生活の変化についてなど。世の中について話すことを「政治的」と言って敬遠する人もいますが、捉え方がずいぶん狭いように思います。環境問題について発言した芸能人や、社会問題に言及したスポーツ選手が批判されたこともありましたよね。 「専門家でもないくせに語るな」「純粋にスポーツで楽しませるべき」などと。世の中について考えることを、特定の偏った価値観に囚われているとか、エラそうだと思っている人もいます。 でも、世の中の出来事について考えたり話したりするのは、特別なことではありません。普段から自然とやっていることです。家計の安心や家族の安全をどう守るのか、どうしたら心配事の少ない生活を送れるのか、子育てしながら考えていますよね。 政治家の仕事は、いろんな人がそれぞれに望む安全や幸せが実現される世の中をどうやったら作れるか、どんな工夫が必要で何を優先するべきかを話し合ってお金の使い道を決め、制度を作ることです。私たちの生活にかかわりのある仕事なのです。 ただ、物事を決める権限を手にすることは力を持つことでもあるので、人々の暮らしよりも自分の力の追求が目的になってしまう政治家もいます。そのような政治家は当然、批判されます。