築地市場が最後の営業、83年の歴史に幕「きょうで終わりなんだなあ」
[映像]築地市場、最後の営業日(THE PAGE)
東京・築地市場(中央区)が6日、営業を終了し、83年間の歴史に幕を下ろす。普段と変わらない活気の中で最後の競りが行われ、市場業者には寂しさの一方で笑顔も見られた。11日に開場する豊洲市場(江東区)への移転に向け、6日午後から引っ越し作業に入る。 【写真】移転直前に浮上した「豊洲」欠陥問題 本当に大丈夫なのか?
「一抹の寂しさ」競りでは笑顔も
築地市場は1935(昭和10)年、それまで日本橋にあった魚市場と京橋にあった青物市場が移転して開場した。水産物、青果物を扱い、水産物では世界最大級の取り扱い規模を誇る。築地ブランドとして場外市場とともに愛されてきたが、施設の老朽化などで豊洲市場への移転が進められた。 最終営業日となったこの日も、いつもと変わらないスケジュールで取り引きが行われた。生マグロの競りは午前5時半から、冷凍マグロは同6時、青果の品目別の移動競りは同6時半から最後となる競りを行った。
生鮮マグロ卸売場では、競りに先立ち、卸売業者で築地魚市場の吉田猛社長が「長年にわたり築地市場が担ってきた大きな役割と功績は、そのまま豊洲市場にバトンタッチされ、私たちは未来へ向かって出発する」とあいさつ。 仲卸業者で東京築地魚市場大物業界の横田繁夫会長は「マグロに思いを込め生産し出荷する方があり、その思いを受け集荷機能を最大限に発揮する卸会社があり、そしてその思いの詰まったマグロを目利きでお客様のニーズに応える我々仲卸があり、それぞれの思いが集結し、いまの築地ブランドが構築されてきた」とそれぞれ築地への感謝を語った。最後に東京魚市場卸協同組合(東卸)の早山(はやま)豊理事長による一本締めで締めくくった。
青果部でも競りの前に、東京シティ青果の鈴木敏行社長が「念願だった豊洲市場に11日に移転する。きょうは最後の営業日で一抹の寂しさを感じる。築地市場ブランド、これからは豊洲市場ブランドを作り上げていきたい」と新市場への意気込みを語った。競りでは、売り主の威勢のいいかけ声に対して買い手が指でサインを示し、次々と商品が競り落とされていった。買い手らには笑顔も見られ、築地での最後の競りの雰囲気を味わっているようだった。 最後となったマグロの競りには生と冷凍合わせて874本が取り引きされ、生マグロの最高値は青森県大間産の438万5000円だった。価格としては通常と変わらない水準だという。
すべての競りが終わった後、築地市場協会の伊藤裕康会長が報道陣の取材に応じ、「きょうで終わりなんだなあ」としみじみ。今後もタクシー乗車の際に「築地まで」と言ってしまいそうだと築地への愛着を語りながら、「みなさん『また豊洲で会おうね』という会話をあちこちでしていた。豊洲に引き継がれることを頼もしく思っている」と述べた。 築地市場ではすべての営業が終了した6日午後から10日まで、豊洲市場への引っ越し作業に入る。引っ越しを終えた10日が築地市場の閉場日となり、11日から豊洲新市場が開場する。