地球温暖化対策が進まないのは誰のせいなのか?
人体に有害な紫外線を吸収するオゾン層は、太陽からの直射を遮り、地球上の人や動物を守っている。フロンガスによるオゾン層の破壊を食い止めるため、エアコンや冷蔵庫などに関する規制が決められたのが1987年。モントリオール議定書といわれるものだ。これにより、フロンガスは「環境に優しい」はずの代替フロンにとって代わられた。 ところが近年、代替フロンは、オゾン層への影響は少ないが温室効果は二酸化炭素よりはるかに大きく、温暖化防止には役立っていない、という報告がなされた。何を今さら、と嘆きたくもなるが、モントリオール議定書の当時は、温暖化に関する情報も少なく、オゾン層ばかりに関心が向けられていたから仕方がない。 最近になって、米国のデュポンやハニーウェル、日本のダイキンをはじめとしたメーカーの努力により、オゾン層を保護し、かつ温暖化への影響の少ないガスが開発され始めた。しかし足を引っ張っているのが、各国政府による認可の遅れだ。可燃性が強いとか、安全性テストに時間がかかる、または特許問題などの理由で、なかなか新しいガスが商品化されて市場に出てこない。 政府は表向き温暖化対策を推奨するが、皮肉にもその政府の仕組みが対策の実現を遅らせてしまっている。何事も官僚主義がはびこるとろくなことにならないが、温暖化対策に関しても例外ではない。 (2012年5月撮影) ※この記事はTHE PAGEの写真家・高橋邦典氏による連載「フォト・ジャーナル<地球温暖化のいま>」の一部を抜粋したものです。