「多様性」の時代を生きる日本人へ...人間関係が楽になる!中学生から始められる「エンパシー」を育てる方法とは
いままで、「大切な人と深くつながるために」「いじめられている君へ」「親の期待に応えなくていい」など、10代に向けて多くのメッセージを発信してきた作家の鴻上尚史さんが「今の10代に贈る生きるヒント」を6月12日に刊行する。その書籍のタイトルは『君はどう生きるか』。昨年ジブリの映画でも話題になった90年近く前のベストセラーをもじったこのタイトル。なぜ「君たち」でなくて「君」なのか。そこには鴻上尚史の考える時代の大きな変化があった。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『君はどう生きるか』(鴻上尚史著)より抜粋して、著者がいまを生きる10代に贈るメッセージを一部紹介する。 『君はどう生きるか』連載第20回 『「わざわざ聞くのは申し訳ない」は時代遅れ! 「多様性」の時代に日本人を縛ってしまう「呪いの言葉」』より続く
「エンパシー」は能力だ
今、必要なのは、相手に同情する「シンパシー」じゃなくて、相手の立場に立てる能力「エンパシー」なんだ。 「エンパシー」は能力だから、育てることができる。 シンデレラが可哀そうと感じる「シンパシー」は感受性とか優しさと呼ばれるものだから、育てるのはなかなか手間がかかるかもしれない。 でも、「エンパシー」は「シンパシー」よりうんと簡単に育てることができるんだ。 そうすると、君は、「相手がなぜこんなことをしたのか」を考えられるようになって、人間関係が楽になってくる。
「エンパシー」を育てる方法
ゲームばかりしたがるAさんは、「最近、新しいゲーム機を買ったから、それを自慢したくて言ってるんだな」とか「サッカーに自信がなくて、おこづかいもあんまりないから、家でゲームをしたがっているんだな」とか、相手の立場に立てるようになるんだ。 「エンパシー」を育てるためには、どうしたらいいか。 自分以外の人の気持ちや考え方を知ることなんだ。 映画やマンガ、小説の物語には、君以外の人物の気持ちや考え方がたくさんあるよね。 まったく理解できない行動をとった人物の動機とか目的がやがて描かれて、「なるほど。だから、こんなことをしたのか」とハッとしたことはなかったかな。 それは「エンパシー」の学びなんだ。 他にも、「他人を演じてみる」なんて方法もある。学芸会でも経験できるし、友だちとの遊びでもできるね。子供の頃、ヒーローごっことか、海賊ごっこなんてやっただろうか。自分以外の人になることが、エンパシーを育てる方法なんだ。中学や高校でも、友だちと物語の登場人物になって話してみる、なんて遊びをしてみないか。「赤ずきんちゃんと狼の会話」とか「好きなアニメの登場人物同士の会話」とか「歴史上の人物同士の会話」なんてのは楽しいと思う。