「調査官ク・ギョンイ」脚本家ユニット のソンチョイ「チームの結束からおもしろい作品が生まれる」
第5次と呼ばれる韓流ブームが到来している。もはや一過性のブームではなくスタンダードであり、日本のZ世代の「韓国化」現象にもつながっているのは明白だ。その韓流人気をけん引してきた1つが韓国ドラマ。本企画では有名韓国ドラマの脚本家にスポットを当て、物語の背景やキャラクターからファッションに至るまでの知られざる話を紹介する。 【画像】「調査官ク・ギョンイ」脚本家ユニット のソンチョイ「チームの結束からおもしろい作品が生まれる」
Vol.5は脚本家ユニット 、ソンチョイが登場する。代表作「調査官ク・ギョンイ」は韓国のネット社会を反映させたスピード感のある脚本で話題になった。同作の制作秘話から、映像コンテンツ業界の現状と今後の課題までを聞いた。
――韓国のどのような社会問題が脚本に影響を与えていますか?
ソンチョイ:ある事件の被害者がメディアの矢面に立つことで、社会的なアクションにつながる事件に注目することが多いですね。
具体的な例としては、最近あった「モッタン(たくさん食べる、大食い)」女性ユーチューバーへの虐待事件です。女性自らが元恋人からの暴力や恐喝を動画で訴えたことで、自然にユーザーが彼を糾弾する動きが起こりました。ネット上で見られる反応は性別ではっきりと分かれていて、20~30代の女性たちは支持や共感する声が多く、同年代の男性たちは真逆の反応でした。こういった現象は韓国社会でも何度も繰り返されてきましたが、被害者が社会改革のために行動を強いられてから初めて内情や誹謗中傷に対する理解が広がるのではなく、周囲が被害者を守りながら変化を起こしていくことが大切です。
加えてさまざまなニュースがありますが、政治や経済に関する話題に意識が向くことが多いですので、投票を通じてしっかりと自分の意見を反映させたいと考えています。
――韓国の映像業界の現状についてどう思いますか?
ソンチョイ:世界的に韓国ドラマや映画は人気があったため、コロナ禍前は市場が急成長していて予算も含めて大規模な物語の制作依頼が相次ぎました。しかしコロナ禍後は、急激に市場が縮小し、低予算で小規模なものを作る風潮になっていますので、作家が描きたい物語をつくるのは難しい状況です。