飲食店でよく耳にする「1200円ちょうど、お預かりします」どこが間違い?【ビジネスマナー常識チェック】
【それ間違いかも?ビジネスマナー常識チェック】#70 敬語の基本編(10) ◇ ◇ ◇ 【写真】「新紙幣で景気は良くなる?」7月3日お目見え…素朴な疑問Q&A集 前回は、ビジネスの場で気を付けたい表現をみていきました。今回はその第2弾。飲食店などでよく耳にするけど、どこか違和感のある表現をピックアップしました。 1)なぜか過去形 ×「こちらの席でよろしかったでしょうか」 〇「こちらの席でよろしいでしょうか」 今現在のことを聞いているのですから、過去形にする必要はありません。 2)「ほう」は必要なときに ×「コートのほう、お預かりします」 〇「コートをお預かりします」 「お料理のほう、お持ちしました」「資料のほう、ご覧ください」など、「~のほう」という言い方、よく耳にするのではないでしょうか。「ほう」は、方向を示すときや比べるものがあるとき、物事をぼかしていったりするときに使われます。ぼかす必要がないときや、比べるものがない場合は使いません。 3)どんな形? ×「ただ今、30分ほどお待ちいただく形になっております」 〇「ただ今、30分ほどお待ちいただいております」 「形」はどこにもありません。 4)「~になる」は変化を表す ×「こちら、ランチセットになります」 〇「こちら、ランチセットでございます」 「~になります」は、「変化する」というニュアンスが含まれた表現です。変化しないものには「です」「ます」「ございます」で締めくくるとスッキリします。 よく耳にする「こちら、領収書になります」「お釣りになります」なども「ございます」に言い換えると違和感がなくなります。 5)敬意の向かう先 ×「ご注文の品は、おそろいになりましたでしょうか」 〇「ご注文の品は、そろいましたでしょうか」 「そろう」を「お~になる」の形の尊敬語「おそろいになる」として使っています。敬語の形としては間違いではありませんが、そろったのは「注文の品」であり、「注文の品」に対して尊敬語は使いません。そろったのがお客さまの場合は「皆さま、おそろいになりましたでしょうか」のように尊敬語を使います。 6)レジ前で ×「5000円からお預かりします」 〇「5000円お預かりします」 「から」は不要です。 ×「1200円ちょうど、お預かりします」 〇「1200円、頂きます(頂戴いたします)」 「お預かりします」は、返すものがあるとき、ここではお釣りが必要なときの言い方です。「ちょうど」というからにはお釣りは出ないはず。この場合は、「お預かりします」ではなく「頂きます」「頂戴いたします」が適切です。 (金森たかこ/マナー講師)