「個別の事件、お答えできない」の法的根拠は 参院で質疑 規定は「公判前の非公開」のみ
不祥事があったときに行政当局が繰り返すことがある「個別の事件についてはお答えできない」という回答の法的根拠について、19日の参院法務委員会で質疑があった。法務省は刑事訴訟法を根拠としたが、条文は初公判前の書類の非公開しか規定していない。 昭和41年の殺人事件で袴田巌さんの再審無罪が確定したことについて、鈴木馨祐法相は「個別の事件にはコメントできない」とした上で、検事総長談話に沿って「結果として長期間、袴田さんの法的地位が不安定な状況が続いたことについて大変申し訳なく思っている」と述べるにとどめ、捜査機関による証拠捏造の指摘などについては答えていない。 弁護士でもある自民党の古庄玄知氏は、個別の事件について答弁しない法的根拠を質問。法務省の森本宏刑事局長は、刑事訴訟法47条の「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない」の趣旨と説明した。 古庄氏は、袴田事件は再審無罪が確定し、終わった事件と追及したが、森本氏は「仮に刑事事件の判決が確定したとしても、個別の事件に関して検察当局が自ら明らかにしている事項を超えて、法務省あるいは法相が検察官の捜査・公判活動を擁護したり批判したりすれば、検察官の活動に影響をおよぼす」とした。 無所属の鈴木宗男氏は、法相と検事総長で袴田さんに謝罪に行くべきだと求めた。鈴木法相は「検察の検証を見た上で、さまざまな判断を行いたい」と述べた。