損保協会長、来年6月までに政策株ガイドライン策定-業界全体で削減
(ブルームバーグ): 28日付で就任した日本損害保険協会の城田宏明会長(東京海上日動火災保険社長)は、政策保有株に関するガイドラインを策定する考えを示した。31社が加盟する協会全体で政策株削減に取り組む環境を整える。大手4社で広範囲に行われてきた企業向け保険料の事前調整問題を繰り返さないよう、健全な競争環境の構築につなげる。
城田会長はインタビューで、企業向け共同保険において、政策株の保有割合が取引のシェアに連動することもあったとして、「保険料調整行為を招いた一つの要因だという反省もある」と述べた。ガイドラインでは、政策株の削減方針や時間軸を含めた削減目標の設定、純投資と政策株との区分の考え方などを定める方針。来年6月までの任期内での策定を目指す。
東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングス傘下の損害保険4社は2月、企業向け保険料の事前調整問題を受けて、合計で8兆8000億円規模の政策株を全て売却する方針を示した。一方、金融庁の有識者会議が今月まとめた報告書では、純投資に区分するなどして実質的に政策株の保有が継続することのないよう同庁に適正なモニタリングを求めた。
損保協会でも、政策株を純投資に区分変更することで、実質的に保有を継続することになれば、純投資化を通じた株保有競争の再発を招きかねないと懸念しており、ガイドライン策定によって適切で規律ある行動を会員各社に促す。
城田会長は「失った信頼を回復させる取り組みを最優先課題として進める」と説明。業界全体で商慣習を見直し、法令順守や教育体制、業務品質の確保に取り組んでいくとした。
関連記事:
(c)2024 Bloomberg L.P.
Nao Sano