進む若者の新聞離れ 増える高齢読者のトラブル
新聞の訪問販売を巡るトラブルが後を絶ちません。新聞の販売部数が減り続けているのに加え、若い世代が新聞を購読をしない傾向にあるため、自然と読者層が高齢化。これに伴って60歳以上の高齢者がトラブルに巻き込まれるケースが増えています。 国民生活センターによると、同センターと全国の生活情報センターには、毎年約1万件の新聞契約に関する苦情が寄せられています。 2003年に寄せられた苦情件数は1万966件。うち3229件が60歳以上の契約者から寄せられ、その平均年齢は47.1歳でした。9年後の2012年の苦情件数は9886件。うち5486件が高齢者からのもので、苦情を寄せた契約者の平均年齢が61.7歳。9年間で15歳も高齢化しました。苦情全体に占める高齢契約者の比率も伸びています。 新聞の読者が高齢化すると、苦情は自然と高齢の契約者から寄せられることが多くなります。 中国地方に住む70歳代の女性は、契約の際に「いつでも解約できる」と言われていたのに解約しようとすると「あと2年の契約が残っている。2年分の新聞購読料金約10万円を支払わなければ、解約できない」と脅されたと言います。 契約期間が白紙のまま購読契約書にサインしてトラブルに巻き込まれたのは、九州地方の80代の女性。試読のつもりで契約しましたが、購読契約書には3年と書かれていました。 このような、年齢に関わらず巻き込まれそうなトラブルだけでなく、高齢者だからこそ気をつけなければならない問題があると同センターは指摘します。 「高齢者は数年単位の長期契約を結んでしまいがち」というのです。なかには90歳を超えているにも関わらず、長期の契約を結んだ事例がありました。長い場合は10年を超えることもあると言います。 視力が落ちたり、入院したりして新聞が読めなくなる可能性があるのに、長期契約を勧められている事例が報告されています。契約者側には、高齢による判断力の低下という問題があるにしても、販売店側にも契約にあたってのモラルの問題をはらんでいると言えるでしょう。