「翔くんの言葉で言えば『俺が戦ってんのは組織やから』」中1で自殺 生徒の母親が教師たちの不適切な対応、問題の本質を改めて訴えた記者会見
おととし3月、自ら命を絶った大阪府泉南市の中学1年生・松波翔さん(当時13)。母親の千栄子さんが5月6日、記者会見を開きました。 【独自追及】届かなかったSOS...放置した市教委 市が第三者委員会に『虚偽報告』か これに先立ち泉南市の第三者委員会が報告書をまとめ、千栄子さん自身、それに対するコメントをしていましたが、改めて遺族の思いを直接話したいと、希望して開かれた会見でした。
「言いたいことが2つある」
千栄子さんがまず伝えたのは、以下の点でした。 「報道していただいている、報告書を受けて『いじめが認定された』ことを強調して書かれていることが多いけれど、そもそもこの問題は、いじめが原因ではないです。」 「報告書にもちゃんと書かれているけど、教師たちの不適切な対応によって生徒のいじめも発生して、その後の対応も悪かったことで、最悪なケースになったのが問題で、そこをもう一度みなさん理解して読み、広めてほしい」このように要望しました。
「私たち家族に向き合わず次のステップへ」
そして泉南市に対しては、このように話しました。 「市長や教育長の記者会見の場所にいてたけど、みなさん報告書が出て、『悪かったです、再発防止に取り組みます』と言うけれど、まず亡くなる前、亡くなった後も、私たち家族に何一つ向き合っていない。」 そして、「報告書で悪いことは認められているけれど、私たち家族に何一つ向き合わずに、次のステップに進もうとしていることが問題。そこも声を大にして言いたい」と話しました。
第三者委は「学校側の対応に疑問」と判断している
自ら命を絶った大阪府泉南市の中学1年生・松波翔さん(当時13)は生前、「いじめを教師に相談したが対応してくれない」と家族に話していました。 5月31日、会見を開いた市の第三者委員会は、同級生らが、過去に不登校だった翔さんに対して「少年院帰り」と言うなどのいじめがあったと認めたうえで、学校や市教委については「本人や保護者に親身になって対応できていたかは疑問。十分な対応だったとはいえない」などと述べていました。 また、翔さんと母親が「市外へ転校したい」と市教委に訴えるも要望がかなえられなかったことについては、「苦しみから逃れる唯一の希望が絶たれた」としました。 この報告書を受けて、泉南市教育委員会の冨森ゆみ子教育長は次のように話していました。 (泉南市教育委員会 冨森ゆみ子教育長)「(報告書では)教育委員会の対応につきまして、複数の場面で問題点があったのではないかと指摘されております。第三者委員会が客観的に事実と認定した事象については調査結果を尊重させていただきたいと考えております」
「俺が戦ってんのは組織や」とずっと翔くんは言っていた
母親の千栄子さんは言葉を続けます。 「翔くんの言葉で言えば、『俺が戦ってんのは組織やから』と、ずっと彼は言っていた。今回の問題は子ども同士のいじめが主流になっているわけではない、それが問題とは思っていない。」 「そういう風に追いやった大人たち、教師や周りの大人です、それをもう一度、認識してほしい。」 遺族の口から問題の本質について改めて強い指摘があった記者会見。千栄子さんは「市教委や学校は不適切な対応を認めた上で再発防止策に取り組んでほしい」と訴えました。