【阪神】期待の高卒3年目スラッガーがプロ初の満塁弾 新庄剛志以来32年ぶり快挙
◆日本生命セ・パ交流戦 ソフトバンク1―4阪神(16日・みずほペイペイ) 阪神・前川右京外野手(21)がプロ初の満塁弾を放ち、チームの借金生活突入を阻止し、2位タイに浮上させた。初回1死で石川の147キロを右翼席へ運ぶ2号。球団の高卒3年目以内のグランドスラムは、1992年8月16日の中日戦(ナゴヤ)で新庄剛志が記録して以来、32年ぶりとなった。先発の才木浩人投手(25)は7回5安打1失点でリーグ単独トップの8勝目。6回まで球団歴代4位となる35回1/3連続無失点を継続するなど、今季4度目の連敗ストップに成功した。 会心だった。前川は「打った瞬間いったと思った」とバットを放り投げ、放物線の行方を見つめながら走り出した。初回1死満塁。石川の直球を振り抜き、右翼席に運んだ。プロ1号を放った5月31日のロッテ戦以来、14試合ぶりの2号は先制&決勝のプロ初満塁弾。「ホームランを打てると思ってなかったんでビックリしました。うれしかったです」とかみしめた。 阪神の高卒3年目までの選手のグランドスラムは1992年の新庄剛志以来、32年ぶり。「落ち着け、落ち着け」と心の中でつぶやき、普段通り平常心で打席に立てたことが、結果につながった。2戦連続で先発起用した岡田監督も「やっぱ大きいよなあ」と絶賛。「やっと左(投手)のときでも先発したりな。今がレギュラーポジションを取る、そういう過程」と今後に期待した。 快打の裏に、プロ通算1404安打を誇るソフトバンク・中村晃の助言があった。14日の試合後。中村の帝京高時代の2学年後輩、原口に連れられて3人で食事した。前川はヒッチ癖のあるテイクバックなど、タイミングの取り方に関する悩みを相談。自身と同じ左投げ左打ちのプロ17年目の打撃職人から経験談や感覚を聞き、参考にした。恩人の目の前で成長を示した。 歓喜に沸く試合後のヒーローインタビュー。若武者は「母の日はプレゼントを渡したんですけど、父の日は渡していないんで、これをプレゼントにしたいと思います」と、三重・津市内の自宅でテレビ観戦していた父・栄二さん(52)に思いをはせた。チームは貯金1に戻し、2位タイに浮上。得点力不足に悩む虎打線の中で、希望の星が輝き続ける。(中野 雄太)
報知新聞社