人口減少「外国人の移住も含め国は対応考えるべき」 中村時広愛媛県知事
一方で、中村知事は、人口減少について「愛媛県だけではなく、国全体の問題」だと強調。「日本全体が人口減少過程に入っており、今1億2000万人いる人口が9000万人を切ると言われている。この根本的な解決は、出生率を高くしていくか、外国人の移住者でカバーするかしか方法はない」などと指摘し、増大する社会保障費にメスを入れるなど、人口減少への対処は「国としてどうする」か明確化してほしいという考えと、抜本的な改革が必要との認識を示した。 また、そのような中では、一時的に人の取り合いという競争になるのは仕方がないとも言い、「我々のいいところをどんどん出していくということをストレートにやっていけば、自然と(愛媛に)目を向けてくれるはず」とも話した。 地方が施策を行うときの国と地方の業務の切り分けに課題があるとも言い、「地方分権という言葉を、だいぶ聞かなくなった。肝心な権限や財源は全く移譲されていない。現場を知らない政策ばかりが広がって無駄遣いが増えていくという、このサイクルが止まらない」と危機感を示した。 「市町村よりも県が上、県よりも国が上、というイメージがあるが、根拠は全くない。ただ単に役割が違うだけであって、上下関係というのはそこにはないはず。国は現場の生の声を聞けないが、それでは生きた政策にはならない。やはり現場で積み上げられたものというのが生きた政策になる」 「地域によって、人口規模も地理的な条件も産業構造も違うから、画一的なものではうまくいくはずがない。地域ごとの個性を生かした政策が、各分野で必要だと思う。そのために地方分権が絶対に必要と結論づけている」と訴えていた。 (2017年12月末に取材)
---------- 【中村時広(なかむら・ときひろ)】 1960年1月25日生まれ。愛媛県松山市出身。父は元松山市長の時雄氏。1982年慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、三菱商事入社。1993年7月衆議院議員選挙に初当選。1996年10月衆議院議員選挙に落選。1999年4月松山市長選に当選、2010年まで務める。2010年11月愛媛県知事当選。現在2期目。 ---------- ※インタビューの全文は【連載】人口減少時代「中村時広・愛媛県知事に聞く」(全文1~4完)に掲載