三木孝浩監督が惹かれた俳優・永瀬廉の魅力「ふとした瞬間に憂いの部分が表出する」【オフィシャルインタビュー】
King & Princeの永瀬廉が主演するNetflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』が27日から配信スタートする。これに先がけ、三木孝浩監督のオフィシャルインタビューが到着。役者たちによる化学反応、ロケーション、音楽など物語を彩ったこだわりを語っている。 【写真】穏やかな笑みを浮かべる永瀬廉&出口夏希 今作は森田碧氏によるベストセラー小説「余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話」(ポプラ社)を実写化。今を大切に生きようとする2人が織りなす“期限付きの恋”の物語を描く。主人公・早坂秋人を永瀬、ヒロイン・桜井春奈を出口夏希が演じ、三木氏が監督を務める。 ■三木監督が大切にした原作へのリスペクトと「残された者のストーリー」 これまで多くの珠玉の恋愛映画を手がけてきた三木監督だが、本作がNetflixは初参加。三木に声をかけたのは長年タッグを組んできた春名慶プロデューサーだ。「春名さんとはたくさんの作品でご一緒してきたので、春名さんの求める作品像は僕なりに理解しているつもりです。Netflixは初参加ですが、どういうモノ作りをされるのかクリエイティブの視点でも大変興味があったので、ぜひにとお受けしました」と振り返る。 そのタイミングで原作小説を読んだという三木は、最初はタイトルから「悲しい物語」を想像したが、読了してみるとそのイメージはかなり異なっていたとか。「思っていた以上に明るさのあるお話で、非常にまぶしさを感じました。僕が今まで作って来たみずみずしい10代の子たちが一生懸命に生きているさま、みたいなことで言うと、この原作もその印象と近くて。もちろん余命という時間設定はありますが、大人になる過程の中で思春期をどう生きるかということと、ニアイコールだった」。 そこには三木が青春映画を作る時、根底に持っている意識が大きく関係している。「僕が青春映画を作る時は、“自分だったらこういう青春時代を過ごしたかったな”という意識で作っています。今回の余命設定も“自分だったら限られた時間の中でどう生きられるだろうか”と、自分ごととして捉えてみると、今まで作ってきた映画とより近しいものを感じました」。 共に残された時間の短い2人=秋人と春奈のラブストーリーを主軸にしつつ、「残された者のストーリーも大事にしたかった」という言葉も印象的。「命をまっとうして亡くなった2人が、これからも生き続ける人たちに何を残すのかということも、今回描きたかった大きな要素です。人は時に生きる希望を自分の中からではなく、他者から与えられることもある。それは生きている人だけでなく、亡くなった人から与えられることもあると僕は思っています。人が亡くなっても残されたものがあって、それによって生かされていく人もいるんだよということをこの作品で伝えたかった。そういう意味で2人が残す絵や、SNSのメッセージが、映画の中の友達や家族はもちろん、視聴者の方にとってもメッセージとして響いていけばいいなと」と意図を明かす。 ちなみに春奈が残したSNSのメッセージの仕掛けについては、「今どきのタイムカプセル」のイメージだとか。「ネットの中で自分の中だけに収めたものが、もしかすると誰かに見つかるかもしれない、誰かに拾われるかもしれない……みたいなイメージです。もっと言うと海に流したボトルメッセージのような。それの現代版バージョンですね」と語る。 余命と言われると特殊で悲しい物語を想像しがちだが、三木にとってはある種普遍的な青春映画と変わらない。そんな三木の想いと原作へのリスペクトを大事にしながら、脚本家・吉田智子氏が繊細に物語をつむいでいった。