「ケチさと目ざとさにかけては天下一品」「製薬会社とは名ばかり」 小林製薬の強欲すぎる企業体質とは【紅麹サプリ問題】
業務上過失致死傷容疑での立件も視野に?
食品をめぐる過去の事件といえば、2000年に1万3000人以上が食中毒を起こした雪印乳業事件が有名だ。この時、安全に対する注意を怠ったとして、雪印乳業の工場長ら2名が業務上過失致傷などで有罪判決を受けた。法人としての同社も食品衛生法違反での有罪判決となっている。 「今回の小林製薬に関しても同様、現場責任者と会社の両方が立件される可能性が考えられます。ただし、雪印の時と異なり深刻なのは人が亡くなっているところ。まだ時間がかかるとはいえ、当局は小林製薬の現場責任者に対して業務上過失致死傷容疑での立件を目指していると思われます」 (同) いずれにせよ今は立件以前の段階で、被害の全体像すら見えていない。 「小林製薬が2回目の会見を開き、日本中から厳しい視線を一身に浴びた先月29日の時点では、紅麹サプリを摂取して5名が亡くなり、114名が入院しているとのことでした。しかし、その後も次々に被害を訴える声が上がっています。いまだどのように被害が広がっているのか不明瞭で、予断を許さない状況です」(同)
「ケチさと目ざとさにかけては天下一品」
小林製薬は偶然、運悪く事件を起こしてしまったわけではあるまい。大惨事が起きた背景にある特異な企業体質について、同社関係者はこう明かす。 「そもそも、小林製薬は社名に“製薬”と銘打っていますが、処方箋が必要な医療用医薬品を取り扱っていません。商品はすべて薬局などで買える一般用医薬品か健康食品、または日用品の類です。製薬会社とは名ばかりで、本当の姿はケチさと目ざとさにかけては天下一品の小林一雅会長(84)が率いてきた、“アイデア商品屋”なのです」 1919年に設立された同社は、6代にわたって創業家の小林家が経営してきた。かつては薬品の卸売りが主力事業だったが、現代表取締役会長の一雅氏が60年代以降、アイデア商法路線に舵を切り数々の商品をヒットさせて会社を拡大し現在の礎を築いた。 「甲南大経済学部を卒業して62年に入社した一雅さんは自らのアイデアで、69年にトイレ洗浄剤のブルーレットを、75年にはトイレ芳香剤のサワデーを発売して成功させました。まだ日本のトイレの多くがくみ取り式だった64年、アメリカを旅行した時に見た水洗トイレの清潔さや芳香剤の爽やかな香りが、イメージの原点になったと」(同) 75年には、肩こりに効く鎮痛消炎剤の容器を横に曲げ、商品名をアンメルツヨコヨコとして、これもメガヒットに導いたという。76年に4代目社長に就任して以降も、冷却ジェルシートの熱さまシートや洗眼薬のアイボンなど数多くのアイデア商品を、ユニークなネーミングと共に世に送り出していった。 「常々、一雅さんは“小さな池で大きな魚を釣る”というスローガンを述べてきました。これはニッチな市場を開拓し、そのシェアを先んじて押さえる経営戦略です。誰も訪れていない小さな池を見つけて、そこで一番の釣り人になりなさいと。儲かったからといって、長い時間を要し高額な研究開発費を投じなければいけない、医療用医薬品を作るようなことはしない。それよりも社内提案制度を通じて、社員たちにアイデアを出す意識と習慣を徹底させていったのです」(同)