ハリルJはW杯H組を突破できるか?城氏「突破可能。開幕コロンビアに隙が」
セネガル戦も組織的なディフェンスが重要だろう。正面から、タックルを仕掛けて、ぶちあたっていくようなディフェンススタイルは避け、とにかく粘り強く、1対2、1対3で囲いこみ、パスコースのカットを徹底していく。マネ、ケイタの2人には、前を向いてボールを持たせないことだ。 アフリカのチームは、ドリブルのリズムも、パスのタイミングも独特で、「こんなところから打ってくるの?」という想定外のシュートも多い。そういうプレーが起こりうる可能性を丁寧に潰していきたい。 マネの身体能力とスピードは脅威ではあるが、ケイタのスピードは、それほどでもない。組織で守り、自由にさせなければ、封じ込めることはできる。 中盤でボールを奪うことができれば、ショートカウンターのチャンスは作ることができるだろう。コロンビア戦よりも、その時間は多いと思う。そのワンチャンスを決めきらねばならない。FW大迫勇也(ケルン)の出来がカギを握る。またFW浅野拓磨(シュトゥットガルト)らのスピードもうまく使いたい。 勝ち点「3」の勝算は立つ。 理想は1分1勝の勝ち点「4」で、ほぼグループリーグ突破を確実にしておき、ポーランド戦を迎えることである。 ポーランドは、欧州を代表するエースのロベルト・レバントフスキ(バイエルン)を軸にした高い攻撃力で欧州予選を突破してきた。しかし、つかみどころのない南米、アフリカのチームに比べると、まだ対応できる。日本はヨーロッパのサッカーには免疫力がある。
確かにレバントフスキを止めることは簡単ではない。スピードだけでなく、足元のプレーも上手く、右足でも、左足でも正確にシュートを打てる。高さがあるから、ヘッドも使え、ポストに入ると、ディフェンスラインの裏も取れるという厄介なオールラウンダーである。それだけにディフェンス側は、どこをどうケアするかが、絞りにくい。ディフェンスを最も悩ませるタイプのストライカーだ。 レバントフスキ対策には「プレーを遅らせること」を徹底するしかない。執拗なマークで時間を作り、コンパクトなディフェンスで挟み込む。その作業を根気強く90分間続けて、彼もまた前を向かせないことだ。 ただポーランドは欧州予選10試合で14失点とディフェンスに不安を持つ。ドルトムントでプレーしているディフェンダーのウカシュ・ピシュチェクは32歳で、前には強いがスピードがなく右膝を故障している。日本の攻撃陣が連動して揺さぶれば、得点チャンスは作れるだろう。 理想のシミュレーションは、コロンビアに引き分け、セネガルに勝利、ポーランドに引き分けの勝ち点「5」でのグループリーグ突破である。ロシアW杯の開幕まで約7か月。この理想を「絵にかいた餅」にしないためにも、一日でも早く出場メンバーを決め、それぞれの対戦国用の戦術、戦略を固め、準備を徹底していかねばならない。グループリーグ突破の可能性は、その作業の濃度と、コンディション作りの成否にかかっている。(文責・城彰二/元日本代表FW)