サッカースタジアム整備で迷走した鹿児島市・下鶴市長…結果が求められる2期目、調整力不足を補うために必要なもの
24日の鹿児島市長選で下鶴隆央氏が続投を決めた。期待感を込めて選ばれた1期目とは異なり、2期目は結果が求められる。選挙戦で掲げた「選ばれるまち」の実現には、さまざまな意見を踏まえて合意へとまとめ上げる力が求められる。 1期目はサッカースタジアム整備を巡り迷走した。ドルフィンポート跡地、住吉町15番街区、浜町バス車庫、北ふ頭の各候補地は、地権者である県・民間の同意を得られなかったことなどから白紙となった。前市長時代の発案から8年。移転方針の鹿児島サンロイヤルホテルの跡地が浮上しているものの、県や民間と連携した「オール鹿児島」の取り組みに具体的な進展は見られない。 ある市議は下鶴氏を「一方的に物事を進めようとし、相談や根回しが不十分だ」と指摘する。2023年5月、スタジアム構想を含む共通課題の情報共有を目的に県議を招いて説明会を開きながら、冒頭あいさつ後に途中退席しようとし物議を醸したこともあった。
今回の選挙でも調整力に疑問符がついた。立候補表明した今年9月上旬、県内各政党から推薦を得たいとの考えを公言。しかし市議会最大会派の自民党市議団から内諾を得られず、結局は他政党を含めて推薦願の提出自体を見送った。 市職員からは「もう少しビンタ(頭)を下げ、関係各所とうまくやってほしい」との本音も漏れる。 一方で、県議時代から無所属・草の根スタイルを貫く下鶴氏に対し、しがらみのない政治、既得権益に縛られないリーダーシップを期待する有権者の声もある。4年前の市長選では、政党・団体が支援する元副市長や元市議との激戦を制した。今回選挙の“信任”も引き続き、刷新への願いが込められている。 独自性が過ぎれば角が立ち、長いものに巻かれれば期待に背くことになる。下鶴氏の2期目は、政治家としてのバランス感覚が問われているともいえるだろう。
南日本新聞 | 鹿児島