日本ラグビーを知る南アフリカの2人が語った8強対決のポイント「どちらがプレッシャーを制御できるか」
「ホスト国とプレーすることほど楽しみなことはない。自分たちのプレーを示すいい機会です」 こう心境を語るのは、南アフリカ代表のナンバーエイトのドウェイン・フェルミューレン。フルバックのウィリー・ルルーはこう話した。 「今回はどちらがプレッシャーをコントロールできるかにかかっている」 ラグビーワールドカップ(W杯)の準々決勝(20日・東京スタジアム)で日本代表が対戦する南アフリカ代表のメンバーが15日、会見を開いた。 南アフリカ代表はW杯で過去優勝2回の世界的強豪国。パワー勝負とタフな防御を普遍的な強みとし、現チームも、その伝統的なスタイルを磨く。 4年前のイングランド大会では、予選プールで日本代表に32-34と歴史的な黒星を喫したが、今大会直前の9月6日の前哨戦では41-7と快勝。2018年3月就任のラシー・エラスムスヘッドコーチは、笑顔でくぎを刺す。 「事前試合で日本代表戦の歴史を塗り替えられたので、もう4年前の質問が挙がらないことを期待します」 あくまで大舞台における8強対決へ誠実に準備する。そのうえで手助けになりそうなのが、日本でのプレー経験がある選手の存在だろう。 日本のトップリーグでは、数年前から南アフリカ人選手が活躍してきた。来日する側は、この国の治安の良さや、クラブで得られるサラリーに、受け入れるクラブ側は多くの南アフリカ人選手から感じ取れる集団への忠誠心に魅力を感じてきた。 2016年に実現したスーパーラグビー(国際リーグ)への日本チーム参加を南アフリカ関係者が強く反対していたという歴史もあるものの、選手同士の親和性は高い。2015年に近鉄でプレーしたナンバーエイトのピエール・スピースは、こう証言する。 「常にチームのために一生懸命プレーする、お互いに助け合うという部分で日本人と南アフリカ人は似ているところがある」
イングランド大会に出たスクラムハーフのフーリー・デュプレアや、ナンバーエイトのスカルク・バーガーはサントリーに在籍経験があり、センター、ウイングとして2011年までW杯2大会連続出場のジャック・フーリーも神戸製鋼で活躍。現在のチームにも昨年までに日本のチームに在籍した経験のある選手が全31名中10名もいて、フェルミューレンとルルーもそれに該当する。 フェルミューレンは身長193センチ、体重108キロの33歳。防御網へぶち当たる突進と危機的局面でのジャッカルで強靭さを披露する。南アフリカ出身で、現日本代表フランカーのピーター・ラブスカフニとは、2018年から在籍するクボタでチームメイトだ。 現日本代表の印象については、国内トップリーグでの印象を重ね合わせてこう語る。 「日本で速い展開のラグビーがなされるのは、クボタでプレーして知っていた。スピード、フィットネスを活かして休まず戦う方法は、クラブレベルから来た文化ではないかと感じます」 一方でルルーは、身長186センチ、体重90キロの30歳。防御時の危機察知力と攻撃時の鋭い走りが光るこの人は、2015年から2シーズン、日本のキヤノンでプレーしていた。当時は、元日本代表フルバックでヤマハの五郎丸歩を「ランニングがいいですね。やっぱり。なかなか止めにくい」と驚かせた。今大会後は、トヨタ自動車に入って2度目の日本挑戦をする予定だ。 会見では、日本のメディアから「日本人の抜き方はもう知っているのでは。当時より日本は進化しているのか」と聞かれ、こう述べた。 「日本のトップリーグでプレーした印象は…。あまりストラクチャー(組織力)のないディフェンスだったので、エンジョイはできました」 今大会で多彩かつスピーディーな攻撃を繰り出す日本代表について、その背景も知る両選手。会見では、日本代表戦への焦点を語った。