日本ラグビーを知る南アフリカの2人が語った8強対決のポイント「どちらがプレッシャーを制御できるか」
フェルミューレンは、来日前から知っていたというラブスカフニについて「昔は若かったが、いまはラグビーへの理解力も高い。日本代表が誇れる選手の1人です」と語り、フランカー、ナンバーエイトといった自身が働くフォワード第3列の日本代表を評価した。 「大会のタックル数ランキングで上位の選手もいて(ラブスカフニが全体で2位の56本、姫野和樹が全体で15位の46本)、成長し続けている。主将のリーチ マイケルはワールドクラスで、尊敬すべき相手です」 日本代表の攻め続ける技術とバイタリティを踏まえ、自慢の防御で対抗するか、自らボールキープして相手の強みを出しづらくさせるかのバランスも見たいと話した。 「日本代表は他国と比べても違ったスタイルを持っています。約5週間前にそのスタイルを見ているが、今回も準備を怠らずに挑みたいです。前と比べても日本代表のボール・イン・プレーの時間(プレーを継続させる時間)が伸びている。今度の日曜の試合では、日本のスタイルに臨機応変に対応しながら、自分たちのスタイルを貫きたいです」 特に彼らにとって脅威は福岡堅樹、松島幸太朗の両ウイングだろう。 スペースを見つければ即座に球を呼び込み、快足を飛ばす2人。13日のスコットランド代表戦でも2人で3トライを挙げ、イタリアのスポーツカーになぞらえ「Wフェラーリ」との異名で呼ばれている。 それに対しルルーは、「日本のハードワーク、精度の高いキック、フェラーリ軍団にフォーカスし、ひとつひとつの攻撃へ正確なディフェンスを施したい」と語った。 ルルーの務めるフルバックは、ウイングとともにバックスリーという呼び名でまとめられる。南アフリカ代表のバックスリーにもチェスリン・コルビ、マカゾレ・マピンピという快足両ウイングがいるとあって、会見では「日本のフェラーリに対し、南アフリカにもフェラーリがいる。ロールスロイスのルルーさんは自軍ウイングをどう活かすか」と問われた。 ルルーは冗談を交えて、こう返した。 「自分はフェラーリと言うよりピックアップトラックだと思うが、うまく外の選手を活かしたいです」 日本代表としては、フェルミューレンらフォワード第3列の接点での圧力、ルルーらバックスリーの加速力を念頭に置いてゲームプランを作りたい。むしろ、2人を含めた日本ラグビー経験者をどこまで分析できるかにも注目される。 南アフリカ出身ロックのヴィンピー・ファンデルヴァルトは、所属するNTTドコモでロックのエベン・エツベス、スタンドオフのハンドレ・ポラード、センターのジェシー・クリエルと一緒にプレーしたことがある。リーチも東芝でユーティリティバックスのフランソワ・ステインとチームメイトだった。 イングランド大会時は、日本代表のサントリー勢が名手のデュプレアを「プレッシャーがかかった状態でやや苦しむ」と、見立てていて、現チームも当時と同じように選手同士で対戦する選手の特徴を共有している様子。今回も似たような対話がなされていれば、ゲームの深みが増す。日本代表を知る南アフリカ代表vs南アフリカ代表を知る日本代表。運命の8強対決の行方に影響を与えるマッチアップになりそうである。 (文責・向風見也/ラグビーライター)