GGAP日本一 岩瀬農高 福島県産食品輸出へ一歩 3月、ベトナムに米粉麺出品 風評払拭、安全性を発信
岩瀬農高(鏡石町)はベトナムで3月に開催される日・ベトナムの交流イベントにオリジナル「米粉麺」を出品する。東京電力福島第1原発事故に伴う福島県産農産物の風評払拭に向け、数年前から農産物の輸出を模索。生産管理の国際認証制度「グローバルGAP(GGAP)」取得品目数で高校日本一となり、6次化商品を開発するなどして地道に実現への糸口を探ってきた。県内の企業や行政の協力を得た今回の出品は「目標達成への新たな一歩となる」と期待している。 ベトナムに送るのは、海外展開を視野に昨年開発した「カリーノケール米粉麺」だ。実証田で栽培・収穫し、GGAP認証を受けたコシヒカリを使用。健康志向に応えるため、栄養価の高い葉物「ケール」を練り込んだのが特徴だ。加工は米粉麺を製造・販売するアルファ電子(天栄村)に委託した。 米粉麺を海外の消費者に味わってもらう方法を探したところ、ホーチミン市で3月9、10の両日催される「ジャパンベトナムフェスティバル」に出展する郡山市から協力を取り付けた。米粉麺60食分を市職員に託し、展示と試食、来場者へのアンケートなどを担ってもらう。ベトナムは米粉麺料理の「フォー」が広く親しまれ、人口規模や経済成長性からも有望な市場と見込まれている。
岩瀬農高は原発事故の発生以降、農産物の風評払拭の手だてとして、輸出を前提としたGGAP取得を進めてきた。2018(平成30)年にはオランダへの研修を実施。現地の農業学校で県産品の印象を尋ねたところ「デンジャラスフード(危険な食べ物)」と答えられたことから、海外をより意識した活動を加速させた。同年に6品目でGGAPの認証を受け、2020(令和2)年には18品まで増やした。 認証によって担保された安全性を世界に発信するため、2020年には精米を真空パックに収めた「福数多(あまた)」の輸出を試みたが、価格面などの課題に直面した。この経験を踏まえ、付加価値を高めた加工品として米粉麺の開発に乗り出した。 現在はベトナムへの出品と並行し、県内の事業者と連携した輸出の構想も温めており、アジア以外の地域に売り込む方法を模索している。今回得られたアンケートを基に商品の魅力をさらに高めようと、新年度は校内で学科を超えて話し合う場を設ける。