「神木隆之介」が昭和青年と令和ホストを好演 「海に眠るダイヤモンド」は代表作となる予感
■昭和の舞台に非常になじむ 第1話の世帯視聴率は11.0%と2桁発進(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。総選挙特番で2週間ぶりとなり、日本シリーズで放送開始も30分遅れとなった第2話は、それでも世帯視聴率9.3%と、今クールの連ドラでは奮闘している。 「軍艦島でのシーンでは、リアルなロケは場所が限られてしまうため、合成を多用してリアリティーある映像を構築しています。『水の配給』や『公営住宅の取り合い』など、軍艦島ならではの生活の営みを丁寧に描いているのは見事です。島自体はとても狭く、最盛期の頃は世界一の人口密度を誇っていたわけですから、エキストラの配置も含め1秒たりとも手を抜けない。そんな狭くて窮屈な軍艦島で神木さんが主人公として躍動するさまは、レトロでありつつ新しい映像にもなっています」(同) 一方、民放ドラマ制作スタッフは軍艦島のシーンにおける神木の重要性についてこう語る。 「『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督は、神木さんをキャスティングした理由として『昭和の舞台の中に置いたときに非常になじむ、自然と風情に溶け込む力を持っている』とコメントしていますが、その言葉通りジャストフィットしており、神木さんがいることで軍艦島のリアリティーが補完されています。映画俳優としては代表作が多い神木さんですが、主演ドラマとしてはさほど作品に恵まれて来なかった感もあるので、『海に眠るダイヤモンド』は30歳を超えた神木さんにとって待ちに待った代表作になり得ると思います」
■天才的な演技力がアップデートされる 2歳でCMデビューし、天才子役としてさまざまな作品に出演し、青年となった今も第一線で活躍し続ける神木。芸能評論家の三杉武氏は神木についてこう述べる。 「神木さんは6歳の時に出演したドラマ『QUIZ』で狂言誘拐を仕掛ける少年として卓越した演技を見せて、一躍有名になりました。その後も05年公開の主演映画『妖怪大戦争』をヒットに導き、日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞します。さらにドラマ『風のガーデン』ではサヴァン症候群を持つ少年役、ドラマ『心の糸』では耳の聞こえない母と手話でコミュニケーションをとる息子役など難役を巧みに演じて、主演映画『桐島、部活やめるってよ』は各映画賞を総なめにする高い評価を得ました。そのほか、実写化映画やアニメなど印象的な作品を挙げればきりがありません。子役出身ですが、成長するに従って、天才的な演技力は色あせるどころかどんどんアップデートしています。それでもまだ31歳。これからどんな俳優になっていくのか、彼の才能を考えると恐ろしくなりますね」 今期最大の注目ドラマと言われる「海に眠るダイヤモンド」で、ますますアップデートされた神木を見てみたい。 (藤原三星)
藤原三星