阪神・井上 鳴尾浜に感謝の一発「5年間ずっと練習してきた場所」虎戦士ラストアーチ
「ウエスタン、阪神6-14ソフトバンク」(25日、鳴尾浜球場) 阪神2軍は25日、鳴尾浜球場で最後のウエスタン公式戦を戦った。試合には敗れたものの、井上広大外野手(23)は、虎戦士ラストアーチとなる8号ソロを披露。残り5試合となった1軍の優勝争いへの弾みをつけた。最後は元阪神でデイリースポーツ評論家の井川慶氏(45)がファイナルピッチセレモニーに登場し、力強い投球を披露。鳴尾浜球場は30年の歴史に幕を閉じ、尼崎市内の新施設に移る。 【写真】鳴尾浜で若手ら成長見届けた西口元ブルペン捕手 記憶に残る選手は「井川、藤川、藤浪」 美しい秋空が広がる鳴尾浜。スタンドからの「おー!」という歓声の中、打球がぐんぐん伸びる。井上が豪快なアーチでラストゲームに花を添えた。 「5年間ずっと練習してきた場所なので。最後の試合でホームラン打ったことはよかったです」 4点を追った五回1死。一振りで空気を変えた。左腕・渡辺佑の初球・ど真ん中141キロ直球を迷いなく振り抜いた。打球は左中間の防球ネットに突き刺さる、ウエスタン8号ソロとなった。 プロ5年目の期待の大砲候補は、多くの時間を鳴尾浜で過ごし、努力の汗を流してきた。「室内でも、ずっと練習していたので。なくなるのは寂しいですけど、引き続き頑張っていきたい」。成長させてくれた場所への思いがこもった一発は、虎戦士では鳴尾浜ラストアーチとなるメモリアルな一発となった。 優勝争いへ残り5試合となった1軍に向けてもいい弾みをつけた。この日の先発は右腕の板東。「左ピッチャーじゃなくなると、交代になる形が多いので。今日はDHだったので、一打席一打席、代打のつもりでいってみた」とあらゆる場面に備えた。前日の2軍戦は左翼守備に就き、打席では右腕とも左腕とも対戦。「いつどこで右ピッチャー立てって言われるか分からないので。試合に出られてよかった」。1軍では左投手との対戦が多かったが、勝負の最終盤へ“右腕撃ち”も想定。いい準備時間を過ごすことができた。 前夜は履正社の先輩であるオリックス・T-岡田の引退試合に足を運んだ。ファームの試合で対面した時には「ヒット出てるの」といつも気にかけてくれた大先輩。同じノーステップ打法に取り組む姿に「ノーステップ難しいでしょ」と声をかけてくれたこともあった。「本当にすごい先輩を持ってるって誇りに思っている。Tさんが一番上ですかね。しっかりと追いかけていきたい」と尊敬のまなざしを向けた。 鳴尾浜のラストを彩った背番号32の本領発揮はここからだ。「ここからまだ5試合あるんで、しっかりと出番があれば頑張りたい」。1軍の舞台でも豪快な打撃で虎党を大いに沸かせる。