メルセデス・ベンツ「EQS」名称廃止 Sクラスに統一へ エンジン車とEV、2030年に第8世代導入
個別のプラットフォームを採用
AUTOCARの取材に応じたケレニウスCEOは、大型EV向けのMB.EAプラットフォームの開発を中止したというメディアの報道内容を否定し、「すでにMB.EAラージで計画を進めている」と述べた。 MB.EAプラットフォームへの投資予定額は、40億ユーロ(約6400億円)から60億ユーロ(約9600億円)と見積もられている。このプラットフォームは、EQSの後継車だけでなく、Eクラス、GLE、GLSの後継EV(詳細未定)にも使用される見込みだ。 メルセデス・ベンツの製品計画に詳しい関係者はAUTOCARに対し、内燃機関を搭載した第8世代のSクラスを開発するという決定により、Eクラスもほぼ確実にガソリンエンジンとディーゼルエンジン、そして電気駆動バージョン(EQE後継)とともに第7世代に切り替わるだろうと語った。 「SクラスとEクラスは技術的に密接な関係にある。どちらか一方がなければ、現在のモデルが享受しているスケールメリットに大きな影響を与えることになる」と関係者は言う。 プラットフォームは異なるものの、第8世代のSクラスは、最も近いライバルであるBMW 7シリーズとi7を反映し、内燃機関モデルとEVモデルの外観を統一する予定だ。Gクラスと同様、フロントグリルは変更されるが、ボディは共通となるだろう。
現行型はまもなくリフレッシュの予定
次世代モデルの登場に先立ち、現行世代のEQSとSクラスにはさまざまな改良が実施される予定だ。 現在の計画では、EQSは2025年後半に、Sクラスは2026年にマイナーチェンジを受けることになっている。 EQSは今年4月に改良を受け、スタイリングが一部変更されたが、次回のアップグレードではEVA2プラットフォームが大幅に改良される。現在の400Vシステムから800Vの高電圧システムに切り替え、充電時間を短縮する。 関係者によれば、10~80%の充電時間は現行型より最大10分短縮され、最短21分程度になるという。また、118kWhバッテリーも改良され、航続距離は約60km伸び、最長860kmとなる。この技術は、近日発売予定の次期CLAと共有される予定だ。 さらなる変更点として、電気モーターは現在のヴァレオシーメンス製ではなく、自社開発・生産の「eATS2.0」を採用する。 また、トランスミッションは1速から2速に多段化し、最高速度が向上する可能性がある。 一方、2026年のSクラスのマイナーチェンジでは、フロントグリルがより大胆なものとなり、ヘッドライトのデザインも変更される。インテリアにはMBUXスーパースクリーンと新しいオペレーティングシステム「MB.OS」が搭載される。 また、既存の4.0L V8ツインターボは、48Vマイルドハイブリッド技術を搭載した最新の「M177」仕様にアップグレードされる。 さらに、レベル3の自動運転システムであるドライブパイロットを、第6世代の新しいソフトウェアにアップグレードする。これにより、最高110km/hでのハンズオフ運転が可能になると予想されている。
グレッグ・ケーブル(執筆) 林汰久也(翻訳)