平和への思い込め 対馬丸、長崎原爆題材の創作劇発表 田検中学校
鹿児島県宇検村の田検小学校と田検中学校の合同学習発表会が10日、同小体育館であり、太平洋戦争中に米軍潜水艦に撃沈された疎開船「対馬丸」と長崎の「原爆」についての劇が上演された。対馬丸事件から80年が経過し、2、3年生が今年5月に修学旅行で長崎を訪問したことから、田検中の生徒が題材に選んだ。生徒19人は多くの犠牲者を出した悲惨な歴史を見詰め、平和への思いを込めて熱演した。 対馬丸事件で、わずかな生存者と多くの遺体が漂着したのは宇検村宇検の船越(ふのし)海岸。対馬丸は1944年8月21日、沖縄の国民学校の児童ら1661人を含む約1800人を乗せて、長崎へ向け那覇港を出港。翌22日に鹿児島県の悪石島沖で米軍潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈んだ。沖縄県の対馬丸記念館によると、少なくとも児童784人を含む1484人(判明分)が犠牲となった。 劇は対馬丸の船長と陸軍少尉のやり取りからスタート。生徒らは、船に魚雷が命中して子どもたちが泣き叫び、船員の指示で海に飛び込むシーンや、8月28日に宇検村に流れ着き、村民に介抱される場面を演じた。続いて舞台は一転し、長崎へ。ライトで原爆が落ちる場面を表現し、映像で被害の様子を流した。劇では被爆した主人公やその家族の人生を描き、原爆の被害や戦争の悲惨さを観衆に訴えた。 対馬丸に乗船した子どもや、長崎で被爆した主人公の姉役を演じた生徒は「対馬丸事件も原爆被害も体験していない私たちがどのように平和について伝えるか苦労したが、みんなで意見を出し合ってしっかり演じることができた」と振り返った。
奄美の南海日日新聞