台風21号は第3室戸台風だった? 大阪市内で毎秒70メートルに迫る暴風 大都市特有の暴風リスクの怖さ
都市の再開発と温暖化によって暴風リスクは高まっている
こうした猛烈な風のリスクは、当然のことだが、大阪にだけあるわけではない。「例えば、ヨーロッパのまちのように、一定の高さの建物が整然と並んでいるようなところだと、市街地では風は弱まるんです。しかし、日本では、大阪に限らず、都市の再開発で高層化がどんどん進んでいて、市街地が凸凹化が進んでいます。大阪だけでなく、東京や名古屋、そしてそのほかの都市でも、都市特有の暴風リスクは、昔に比べて高まっていると考えられるでしょう」(竹見准教授)。 そしてもう一つ考慮しなければいけないのが、地球温暖化に伴う台風の強大化の懸念だ。「台風21号は、室戸台風、第2室戸台風と似たコースをたどっており、いわば第3室戸台風だった。しかし、台風の強さという意味では、過去の2つの室戸台風よりも弱かった。もし、室戸台風クラスの台風が来ていたら、もっとすごいことになっていたでしょう。温暖化に伴って、今後、そのような台風が来ることも見据えなければいけません」と竹見准教授。「今、都市の形態の変化によって社会インフラの脆弱性が高まる一方で、台風は強大化の傾向にある。ダブルで暴風のリスクを高めているのです」 それでは、高まる都市の暴風リスクに私たちはどのように対処していけばいいのだろうか。 竹見准教授は「まず大事なのは、都市にはこのような暴風リスクがあるということを知ること。リスクがあることを知れば、下手に出歩かず、頑丈な建物の中にいることが一番だということも分かると思います。その意味では、台風21号の時は、関西の鉄道会社が計画的に運行を止めたことが、人命を守るという意味で相当プラスに働いたと思います。もう一つは、看板、ガラスなど、飛散物の影響をなくしていくこと。暴風のリスクを踏まえたまちづくりを考えることも、長期的には必要になってくると思います」と話している。 飯田和樹・ライター/ジャーナリスト(自然災害・防災)