日本の“カメレオン戦法”「まだ試しきれてない」 伊東純也も臨機応変に…翻弄の術「良さが出る」
伊東もシャドーを経験、中国戦へ向けたトレーニングでも役割をこなす
森保一監督が率いる日本代表は11月17日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第6戦の中国戦に向けたトレーニングを厦門(アモイ)で実施した。試合日(19日)までわずか2日しか準備期間がないなかでも、15日の敵地インドネシア戦(4-0)の収穫を経て、選手たちも攻撃面の多彩なパターンの構築を実感。肌にまとわりつくような湿気もなく、快適な気候。新たに落ち経った地で、日本の“2シャドー”がさらに成熟度を増している。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也) 【実際の映像】日本サポーターが試合後にスタジアムのでゴミ拾いをするシーン ◇ ◇ ◇ 3-4-2-1システムの攻撃的3バックの布陣を取る日本。その成果もあって日本は最終予選で結果を出し続けている。前線の2シャドーとウイングバックは多彩なバリエーションがこの5試合で試され、右サイドの三笘薫が左のシャドーに入るパターンなど、試行錯誤を進めている。 15日の敵地インドネシア戦は、高湿度で荒れ模様の天候のなか4-0で勝利。打って変わり中国・厦門は心地よい風が吹く。練習開始の夕刻には、普通に過ごしていれば汗ばむような日差しは存在しなかった。17日の公開練習(メディア公開15分)では、ボランチ、シャドー、ウイングバックが上手くパス交換とポジションチェンジを交えながら、クロスまで持っていくシーンも。主に右ウイングで縦突破を持ち味とする伊東純也も、インドネシア戦で試したシャドーの位置でプレーする場面があった。 練習後のミックスで伊東は「シャドーで出た時はよりゴールに近いので、ゴールを取れるような動きをしたいなと思いますし、まあそうですね、前向けたら前向けたで勝負をしかけられればいいと思います」と、チャレンジしている新たな役割に言及。さらには状況に応じて“個々が生きる”ようなポジションチェンジも行われている。 「中でいる時と、サイドにいる時で、サイドにいる方が多分良さが出るんで、そこの入れ替わりはしてもいいかなと思います。裏に抜けるところだったり、攻撃になったら入れ替わったりっていうところはできると思うんで、色々できますね」 まさに“カメレオン”的戦法。右では堂安律、久保建英もウイングバックとシャドーを両立できる。9月に行われた中国との前回対戦(7-0)では、堂安と久保がそれぞれ何度も立ち位置を変えつつ相手を翻弄した。そこに伊東も加わり、日本のバリエーションが以前の対戦時より多彩となっていることにも驚く。 それはほかの選手も共通だった。インドネシア戦で最終予選の初出番を得た旗手怜央は「自チームで左をやっていますけど、右もできると思う(シャドーの位置は)右も左もできる自信はあります」と、争いの激しいなかでもセルティックでの経験を生かす算段を明かす。一方右では三笘が内側に入り、前田大然や中村敬斗が外に張る形など、常に森保ジャパンは挑戦を重ねている。 「同じ選手でやっているとこもあり、そこでの信頼、そういう動きのところは分かります。けれど、チームとしてどれだけできるかっていうはまだ色々な選手でまだ試しきれてないとこもあります」 これは今回のミックス後に三笘が語った言葉。さまざまな選手と組む中で、まだ満足はしていない。南野拓実や鎌田大地の2人もシャドーとして結果を残すが、ローテーションが読めない日本の前線が出来上がりつつある。19日に控えたアウェーの中国戦。日本は9月に大量7得点で破っているものの、直近の中国は2連勝中と波に乗る。成熟度を増す“カメレオン戦法”で、再び相手を脅かすことができるか。
FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko