プリンスリーグ東北参入年もバスの中で勉強|東北学院 橋本俊一監督【文蹴両道】
仙台駅から仙台市と石巻市をつなぐ仙石線に揺られ10分の小鶴新田駅を降り、そこから10分ほど歩くと、東北学院中学・高等学校がある。 【フォトギャラリー】東北学院 宮城県内の私立高校屈指の進学校として知られるが、プロサッカー選手も多く輩出している。古くは柏レイソルなどで活躍し、現在は松本山雅FCでコーチを務める加藤望。浦和レッズで活躍し、現在は浦和アカデミーヘッドオブコーチを務める土橋正樹。長年ベガルタ仙台のボランチとして活躍した千葉直樹。現役選手では日本代表でも活躍したKAAヘント(ベルギー)GKシュミット・ダニエル、昨年からJ3いわてグルージャ盛岡でプレーするFW佐藤未勇がいる。 100年以上の伝統を誇る進学校でサッカーと学業をどのように両立しているのか。自らも東北学院OBでGKとしてプレーし、現在高校サッカー部を率いる橋本俊一監督に話を伺った。 ――伝統的に文武両道ということで、橋本監督が生徒だった時もそうだったのですよね? そうですね。勉強もサッカーもしたいという生徒がうちを選んでくれているというのは昔も今も変わらないかな、と思っています。 ――練習時間を少し制限して、勉強する時間もつくっているのでしょうか? 19時完全下校となっています。7時間授業ということで16:45~18:40で練習を終えます。学校としても家庭学習の確保ということで、19時下校という方針でやっているので、そこに間に合うように終わるようにしています。 ――テスト期間の前や最中はいかがでしょうか? 試験の1週間前から練習は休みです。試験期間の最終日からまた練習を再開します。 ――テストで赤点を取ってしまうと、練習参加ができないのでしょうか? 特に練習に出られないとかそういう罰則は設けていません。それでも周りがみんなしっかりやっているから、という雰囲気はありますね。今の高校3年生も2年生もみんな授業をしっかり受けています。そしてうちの高校の推薦制度のあり方なのですが、英検の級を持っているとポイントがもらえます。昨年プリンスリーグ東北に参入しましたが、移動のバスの中でも英検対策本を開いて勉強している生徒も多かったように思えます。 ――ちょっとしたすき間時間でも勉強しようという雰囲気が特に何も声かけしなくてもあるということですね。 そうですね。こちらから何も言わなくてもそういう雰囲気ができあがっています。 ――中高一貫校なので、中学から上がってくる生徒は勉強する習慣が身についていて、その雰囲気が高校から入ってくる生徒にも伝わるのでしょうか? やっぱり高校生になると「自分はここの大学に行きたい、ここを狙いたい」という希望が出てきて、そのために何点取りたいという意識が高まっているのは見えますので、バスの中で参考書や問題集を開くのはその表れだと見ています。 ――昨年は初めて1年間プリンスリーグ東北に参入し(今年は宮城県リーグ1部)、東北6県へのバス移動が多くなったかと思います。その中でも文武両道をやり続けようという雰囲気が見えたのですね。 Aチームに入っている数多くの生徒が指定校型の推薦制度を利用して進学を決めましたわけなのですが、成績から見ても文武両道を果たしていて、成績上位者にサッカー部が結構上がっていて、Aチームの生徒が結構いたものですから、そういう面ではプリンスリーグ東北に上がったからといって成績が下がるということは特段感じられませんでした。今年の3年生の進路先としては東京理科大、明治大、立教大、中央大、関西学院大、同志社大、明治学院大、芝浦工大、工学院大などですね。