「クララ」と名付けられたクロツラヘラサギ

　山口市阿知須の新光産業きらら浜自然観察公園（原田量介園長）で飼育されている雌のクロツラヘラサギの名前が「クララ」に決まった。10日に同公園ビジターセンターで命名式があり、名付け親の名和田路子さん（88）＝宇部市＝と魚谷陽平さん（47）＝周南市＝が名前の決定を祝福するとともに貴重な個体の保護を誓った。 　同公園は、世界に約6000羽だけ生息し、絶滅危惧種IB類に指定されているクロツラヘラサギの保護活動に力を入れている。その一環で2018年には国内初の保護リハビリセンターを設け、けがや病気で衰弱した個体の保護体制を整備。21年から生態把握のために東京都の多摩動物公園から雌1羽を預かっている。

命名した魚谷さん（左）と名和田さん（いずれもきらら浜自然観察公園で）

　クロツラヘラサギに加え、飛来地の山口湾などの環境保全にも関心を持ってもらおうと名前を募ったところ、6月15日～7月15日に105件の応募があった。職員が協議した結果、名和田さんと魚谷さんが考案した「クララ」に決定した。 　式では2人がくす玉を割ると「クララ」と記された垂れ幕が登場。クロツラヘラサギに含まれる文字の組み合わせと、アニメ「アルプスの少女ハイジ」に登場する同名キャラクターから拝借したと同じ理由を挙げた。 　式後、原田園長の案内で保護センター内のクララと対面。警戒され、餌のワカサギを直接与えることはかなわなかったが「クララ」と呼び掛けると、くちばしを動かす様子を見せた。 　名和田さんは「立ち姿が美しい。名前を呼んでわが子のように感じた」と感激。魚谷さんは「自分が名付け親になるとは思わなくて驚いた」と話していた。 　原田園長（69）は「呼びやすくて、すてきな名前を頂いた。これからも大切に飼育していきたい」と感謝していた。