突然の米朝首脳会談に意味はあった? 非核化交渉は再開で合意
協議再開で非核化がどう進むかは不明だが……
北朝鮮は段階的な非核化の代わりに経済制裁の解除を求めています。これについてトランプ氏は、再開された交渉が進むことが先決であり、制裁の緩和は考えていないと強調しました。 また、金委員長を米国(ホワイトハウス)に招待したのかと問われ、「来てくださいといってある。それは次のステップだ」との趣旨の説明を述べました。 再開される非核化交渉が今後、本当に進むのか、また進むとしてもどのように進むのか、予断はできませんが、今回の会談が米朝両国関係にとって前向きなものであったことは明らかです。外交交渉においては、双方がよい感情になることも重要です。金委員長は、短い時間でもやろうと思えばかなりのことができること、今回の板門店会談は米朝関係が好転し得ることを世界に向けて示したと語りました。会談後の金氏の表情は穏やかであり、笑顔を何回も見せていました。 なお、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は最近、米朝交渉で出番がなくなり、孤立化を指摘する報道も日本で見られましたが、トランプ大統領はG20サミット後に韓国を訪問して文大統領の顔を立てました。文氏はG20サミットでも存在感が薄かっただけに、トランプ氏の韓国訪問を多としたものと思われます。
------------------------------------ ■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスタン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹