『光る君へ』第29話、視聴者が最も注目したのは…夫の死を知らされたまひろ 画面注視データを分析
微笑み合いながら、水面下で激しくぶつかり合う
2番目に注目されたのは20時34分で、注目度82.8%。道長の嫡妻・源倫子(黒木華)と妾妻・源明子(瀧内公美)の戦いのシーンだ。 女院・藤原詮子の40歳を祝う「四十の賀」が左大臣・藤原道長(柄本佑)の主催で華やかに行われた。「今日の童舞は、道長の北の方の長男・田鶴君(三浦綺羅)と高松殿の長男・巌君(渡邉斗翔)が舞うそうだ」情報通の藤原斉信(はんにゃ.・金田哲)は、本日の式次第の内容をしたり顔で同僚の四納言たちに披露する。「道長らしくないな」と、藤原公任(町田啓太)がつぶやくと、源俊賢(本田大輔)は「帝のご所望だと妹・明子が申しておりました」と答える。 壇上では、赤い衣装に身を包んだ田鶴が構える。「見事なものだな」倫子の隣に座する道長は、田鶴の舞を称賛した。夫のわが子に対する賛辞に倫子はご満悦である。 雅楽が鳴り響く中、続いて巌君の舞が始まると場の雰囲気が一変した。巌君の舞は、その場にいるものすべてを魅了しているのだ。巌君の凛々しい姿を眺めるもうひとりの妻・明子の表情は、不敵ともいえるほど自信に満ちあふれている。この状況を想定していたのだ。巌君の舞に魅了されたものの中には、一条天皇もいた。一条天皇は年若い巌君の舞を食い入るように見つめている。一条天皇は、ふと自分に向けられた視線を感じた。隣の母を見ると目が合った。「見事なものであったな」堅物で知られる藤原実資(ロバート・秋山竜次)ですら、巌君の舞に賛辞の言葉を惜しまなかった。 明子が倫子へ送った視線には、勝者の余裕がにじんでいる。倫子はそれには気づかないふりをして、やわらかい視線を返した。微笑み合う2人の妻だが、水面下では激しくぶつかり合っている。一条天皇は藤原顕光(宮川一朗太)を呼び、顕光はお上の意を受け取ると、「お上よりただいま仰せがございました。巌君の舞の師に従五位下の位を授ける」と、みなに声高らかに告げた。道長と倫子は驚き、明子の方を見た。巌君の師は、思いがけず与えられた名誉と官位に、ひたすらに恐れ入っている。ある種の異様な光景に田鶴が泣き出し、倫子がなぐさめるが、道長は「田鶴、女院様のめでたき場であるぞ。泣くのはやめよ」強くいさめた。そして、一条天皇と詮子の方を向き、「せっかくの興に水を差してしまいました。お許しあれ」と一言詫びた。