情報漏えい巡る鹿児島県警のメディア捜索 「権力の暴走」と抗議する報道に県警は「法的問題なし」の姿勢…相容れない主張を識者はどうみる
取材情報が目的外に使われることの合憲性は、過去に法廷でも争われた。事件の証拠が含まれているとして、テレビ局に捜査機関への取材フィルム提出を命じた最高裁判決(1969年11月26日)では「報道の自由は、憲法21条の保障のもとにあることは言うまでもない」としつつ「公正な裁判の実現のような憲法上の要請があるときは、ある程度の制約を受けることも否定できない」と判示した。 鹿児島大法文学部の中島宏教授=刑事訴訟法=は「最高裁の判例法理にのっとれば、真相究明のための捜査の必要性と、報道の自由がどの程度妨げられるかという2点が丁寧に比較検討されることになる」と指摘する。その上で「今回の捜査が適法かどうかを議論するには、県警が家宅捜索に踏み切った経緯と理由を具体的に説明する必要がある」との見解を示した。
南日本新聞 | 鹿児島
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