帝京が開幕戦で劇的白星 V6度の名門復活へ17大会ぶり魂の1勝
第103回全国高校サッカー選手権大会1回戦(28日、帝京2―1京都橘、国立)開会式後に行われた1回戦で15大会ぶり出場の帝京(東京B)が京都橘に2―1で競り勝った。前半5分にDFラビーニ未蘭(3年)がCKに頭で合わせて先制。後半に一時追い付かれたが、同35分にFW宮本周征(2年)の決勝ゴールで、17大会ぶりの白星を挙げた。29日は1回戦の残り15試合が行われ、準決勝は来年1月11日、決勝は同13日に国立競技場で実施される。 国立競技場のピッチで「カナリア軍団」が躍動した。1―1の後半35分、速攻からFW森田晃(3年)のラストパスを受けたFW宮本が、右足でゴール右隅へ流し込んだ。 「いざ黄色のユニホームを着たら、帝京魂が出る。本当は観客席のベンチ外とかのメンバーの方に行こうと思っていたけど、興奮してベンチの方に走っていた」 後半12分、藤倉寛監督に「ゴールをしてこい」と送り出された2年生は人さし指を掲げて、歓喜の雄たけびを上げた。 前半5分に左CKを得ると、DFラビーニが高い打点のヘディングで先制点を決めた。後半33分にCKから同点とされたが、わずか2分後の劇的ゴールで17大会ぶりの勝利を飾った。 1970年W杯メキシコ大会で優勝したブラジル代表に影響されて採用した黄色のユニホーム。左胸には9つの星が輝いている。全国高校選手権は国見(長崎)と並んで戦後最多の6度優勝。高校総体も3度優勝している。元女子日本代表監督の佐々木則夫氏、元日本代表MF本田泰人氏、同MF中田浩二氏ら名選手を輩出してきたが、2009年度大会以降は選手権の舞台から遠ざかっていた。近年、有望選手はライバル校やJクラブの下部組織を選択し、帝京は東京でも勝てなくなっていた。 ターニングポイントは18年度に訪れた。Jユースや高校の強豪校がしのぎを削る高円宮杯U―18(18歳以下)プリンスリーグに昇格すると、トップレベルでのプレーを望む選手が帝京に入学し始めた。徐々に力をつけて、22年に高校総体で準優勝。そして今回、15大会ぶりに選手権に戻ってきた。 名門復活へ-。スタンドには多くのOBが駆けつけた。常勝軍団を築いた古沼貞雄元監督(85)やタレントの木梨憲武(62)も観戦し、後輩たちに声援を送った。