円安で中小は苦境、1ドル120~130円へ政策対応を-小林日商会頭
(ブルームバーグ): 日本商工会議所の小林健会頭(三菱商事相談役)は、足元の円安で中小企業は厳しい状況にさらされていると述べ、1ドル=120-130円を目指す政策対応を当局に求めた。
小林会頭は9日のインタビューで、150円程度になっても円安の恩恵が薄い中小企業は非常に苦しいと指摘。日本の経済力からみて「適正な為替水準は120-130円」とした上で、政府と日本銀行が協調して「その辺に収れんするような政策を打てれば理想」と語った。
円安は大手企業の外貨建て利益の円換算額を押し上げる反面、輸出比率が低い中小企業に輸入物価上昇を通じて打撃を与える。円相場が34年ぶりの安値水準となる160円台を付けた先週、政府・日銀は2度にわたり円買い介入を実施したとみられるが、日米の金利差を主因に円の先安観は根強く、円売り圧力はくすぶっている。小林会頭は、さらに踏み込んだ「円安是正」策を訴えた格好だ。
小林会頭は、政府・日銀は「160円になって慌てて介入したと思われる」とし、より早い段階で手を打つことができたとの見方も示した。
インタビューの前に行われた記者会見では、「堂々と通貨操作をやればいい。あらゆる手を使って、協調、覆面でも何でも結構だが、結果として産業が見通ししやすい経済環境を作ってもらうことが国の役割」と語っていた。
小林日商会頭:日本は堂々と通貨操作をやればいい-円安進行受け
円安は国家の一大事
小林会頭はインタビューで、円安は「国家の一大事だ」と強調。「主権としての通貨の価値をどの辺において政策運営すべきかというのを常に考えねばならない」と述べ、金融政策と通貨政策のコンビネーションによる対応を求めた。
日銀の植田和男総裁は8日の講演で、円安進行を背景に「物価見通しが上振れたり、あるいは上振れリスクが大きくなった場合には、金利をより早めに調整していくことが適当になる」との考えを示した。為替変動の影響を踏まえた政策対応について、これまでよりも踏み込んだ形だが、緩和度合いを調整しても緩和的な金融環境は当面継続する見通しだ。