夢の『島原天草長島架橋』で長崎・熊本・鹿児島をつなぐ! ふたつの長大橋は何故できない?
長崎・熊本・鹿児島の県境をまたぐ道路網はなく、車両は渡船するしかない。もし、島原と天草を隔てる「早崎瀬戸(海峡)」と天草と長島を隔てる「長島海峡」に長大橋を架ける『島原天草長島架橋』の構想が実現すれば、九州西岸部のアクセスも向上するはず。何故、ふたつの長大橋はできない? 【路線図】長崎・熊本・鹿児島の夢……「島原天草長島架橋」のルートはこちら!
長崎・熊本・鹿児島の県境はクルマで移動できない!
九州の道路整備は半世紀で着実に進められてきた。北九州道を皮切りに九州道、関門橋、宮崎道、長崎道、大分道……と、供用されていき、九州本土西側は九州道と南九州道の高規格道路網で結ぼうとしているところだ。 しかし、現時点で、長崎、熊本、鹿児島の県境をまたぐ道路網はない。そのため、長崎-熊本-鹿児島間の車両の往来は、島原の口之津と天草の鬼池を結ぶ「島鉄フェリー」や、天草の牛深と鹿児島の長島を結ぶ「三和フェリー」で渡船しなければならず、目と鼻の先のはずなのに、移動は半日を要しており、九州においては、九州道や南九州道の整備で恩恵は受けられていない。 もし……島原-天草間の早崎瀬戸海峡と、天草―長島間の長島海峡を長大橋でつないだら、渡船に頼らず、九州西岸部を縦断できるのに。この「もし」を具現化した構想は、かねてから存在している。それが「島原天草長島架橋」だ。
島原天草長島架橋で九州の西岸部をつなぐ!
「島原天草長島架橋」の構想は、島原-天草間の早崎瀬戸海峡と天草―長島間の長島海峡を長大橋でつなぎ、長崎県南島原市深江町から鹿児島県阿久根市まで、約110kmの高規格道路をつくるというもの。島原天草長島架橋の整備により、長崎市-鹿児島市の所要時間は、約7時間5分から約3時間35分と、約3時間30分も短縮し、渡船に依存していた九州西岸部の人流・物流に大きく寄与するとみられる。 海峡横断道路としては、どれほどの事業規模となるだろうか。早崎瀬戸(海峡)の海峡幅は約4.5km、長島海峡の海峡幅は約2.0km。明石海峡大橋で本州と四国をつなげた明石海峡の海峡幅は約4.0km。島原-天草間は明石海峡大橋を上回る大事業になると予想される。 大規模な道路事業だが、これまでの日本の土木技術をもってすれば、決して、実現できない構想ではないだろう。それなのになぜ、「島原天草長島架橋」は事業化しないのだろう?