もう使えない?健康保険証 新規発行停止で医療現場にトラブルも
テレQ(TVQ九州放送)
登録に来た人 「(保険証の)新規の発行ができなくなると聞いたので来た」 福岡市の博多区役所マイナンバーカードのサポート窓口です。12月2日から保険証の新規発行が停止され、国はマイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせるマイナ保険証への移行を進めていて、ここでは訪れた人の登録をサポートしています。 福岡市 データ活用推進課 成本純 課長 「特に9月以降で、右肩上がりで増えている状況です」 福岡市全体で、この登録サポート件数は9月が2100件だったのに対し、11月は4000件と2倍近くに増えました。12月2日以降、保険診療で使える証明書はこの3つです。まずはマイナンバーカードと連携させたマイナ保険証。マイナンバーカードを発行し、保険証をひも付ける必要があります。利用の際は、医療機関でカードリーダーにかざして情報を読み取るという方法です。次に現行の健康保険証。新規発行は12月1日までで期限は最長1年。記載されている有効期限まで使うことができます。そして、資格確認書。12月2日に発行が始まり、マイナ保険証を持っていない人や、現行の健康保険証の期限が切れている人などに送付されます。そうした中、 これまでの保険証が12月2日以降、使えなくなったと勘違いしている人もいるようですが。 福岡市 データ活用推進課 成本純 課長 「(従来の)保険証に関しては、今持っているものを有効期限まで使えるので、その点は心配しなくていい」 こちらは福岡市博多区の千代診療所。マイナ保険証の利用率は4%と、ほとんどの患者が利用していない状況。トラブルも発生しています。 千代診療所 舟越光彦所長 「ここ数日であったのは、保険証の有効期限が間違っていた。マイナ保険証の表示で行くと保険証の期限が切れている。でも本人に確認すると使えるはずだということで、保険証の事務所に確認すると『有効期限内です』と。マイナ保険証の表示だと、その方は10割負担で診療を受けないといけないということで大きな問題になった方が1人いる」 そのほか、医療費の自己負担額が2割の人なのに3割負担と表示され、確認作業に時間がかかりました。今後、国民健康保険と後期高齢者医療保険の保険証の切り替え時期である来年7月に、さらに多くの問題が発生すると見られています。 千代診療所 舟越光彦所長 「長年親しんで来た紙の保険証にデジタルを入れると、この数日だけでも問題が起きているので、もう一度考え直す必要があると思う」 一方、介護老人施設では、別の理由で問題が起きていました。 特別養護老人ホーム寿生苑 中村浩 施設長 「そうですね。どちらかというと預かりたくない」 福岡市西区の特別養護老人ホーム寿生苑。寝たきりや認知症など、介護を必要とする高齢者80人が入居しています。これまで、入居者の医療保険証や介護保険証は入居時に預かり保管していますが、マイナ保険証は、金融機関に関する情報がひも付いているケースもあり、万が一紛失した場合のリスクが大きいと話します。 特別養護老人ホーム寿生苑 中村浩施 設長 Q.マイナ保険証は預かれない? 「これまでの紙の保険証よりも個人情報が多く含まれている。今のところ施設としては資格確認書で対応させていただこうと考えている」 マイナ保険証を持っていない人や、現行の健康保険証の期限が切れた人などに送付されるのが、この資格確認書です。外出が容易ではないという福岡市の瓜生博文さん。この在宅診療には従来の保険証を使っています。保険証の期限が来たら、資格確認書で診療を受けるつもりです。訪問診療をする医療従事者は、逆にマイナ保険証を提示された場合、まだ、持ち運びできる確認用の機器がないなど、不安を感じています。 ちどりばし在宅診療所 ソーシャルワーカー 小川真澄さん 「従来の紙の保険証であれば生年月日や番号などが書かれているが、マイナカードを見ただけだと情報の確認ができないので、今後どうなるのか不安」 マイナ保険証で一部にトラブルがあり、今後も混乱が予想される中、不安を生まないための周知がさらに求められます。
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