マナー悪い・非を認めない・逆ギレ・お節介・自分勝手… 年齢問わない“老害ゴルファー”対策で役に立つ大谷翔平の行動とは?
近づかない、話を続けない、ポジティブ思考で接する
一人予約で“若年性老害ゴルファー”と一緒に回ることになったら、あるいは自分たちの前後の組にいたら、どのように対応したらいいのでしょうか。 人材教育会社の(株)エミー代表取締役を務め、プロゴルファーへの接客指導も数多く行っている渡辺満枝さんに教えてもらいました。 「周囲を不愉快な気持ちにさせたり迷惑をかけたりする人には、近づかない、話を続けない、ポジティブ思考で接する。3つの対策を状況に応じて使い分けてみてはいかがでしょうか」 「例えば、A、C、Fのパターンは、一歩間違えるとトラブルになりかねない状況です。そういう場合は相手と関わらない、近寄らないようにするのが一番です。AもCもそれ以上は接触せず、9ホール終了後に『こういうことがありました』とキャディーマスター室で報告すれば、ゴルフ場側が対応してくれるはずです。Fの場合は、他のドアから降りることをお勧めします」 「Dのケースは、最初に『プロに習って練習中なので、大丈夫です』とやんわり断るのがベターです。相手が強引すぎて断れなかったときは、『ありがとうございます』『はい、分かりました』など一言だけ答え、それ以上話を続けさせないようにするのがベターです。真面目に聞くほど相手は熱を帯び、もっと教えてくることがあるからです」 「個人的な感想ですが、E、A、Cの人は、プロや上司や先輩にゴルフへ連れていってもらったり、教えてもらったりした経験がないのではないでしょうか。先輩たちとラウンドを共にしながらゴルフを覚えてこなかったため、マナーを知らないのだと思います。『私はボギーでした。みなさんは?』『打順がわからないな。〇〇さんはいくつですか?』必要な会話を明るく交わすうち、相手が心を開く場合があります」 3つの対策を覚えておくと不愉快な気持ちになるのを回避できそうです。
さりげないひと言で相手の心に橋をかける
とはいえ、マナーを無視した自分勝手な人によって不愉快な思いをさせられ、その上こちらが気を使わなければならないことには、モヤッとした気持ちが残ります。なぜ、30代・40代でそのような言動を取るゴルファーが目立つのでしょうか。 「ゴルファーに限らず、若い人がそうした言動をとる理由として考えられることが2つあります。一つは、興味の対象が限定的で、それ以外のことに関心を示さない人が多くなったことです。狭い世界で生きていると見聞は広がりません。ふだんは自分の持っている知識や経験だけで不自由なく過ごせていても、外へ出たりゴルフをしにいったりすると、体験したことのない状況や初めての人に出会います。そんな時どうしたらいいか分からず、逆ギレ、無言、売り言葉に買い言葉といった反応をしてしまうのではないでしょうか」 「もう一つは、核家族に育ち、自分第一で大人になった人が多いことです。昔話をすると、それこそ老害と言われてしまうかもしれませんが、今から40年以上前、私は航空会社で国際線のCAとして従事していました。当時は接遇を『お客様には、自分のお父様にするように接してしてください』と教わったものです。時代とともに家族のあり方や考え方が変わり、大切なのは人より自分、人に迷惑をかけなければ何をしても自由と考える人が多くなりました」 「その結果、相手を尊重する、理解する、思いやる気持ちを失ってしまったのではないでしょうか。BやCのように、前の組がプレーしているグリーンに上がって自分のボールをマークする。『遅いほうが悪い。ボールが当たったわけでもない』と責任転嫁する。そうした言動によく表れていると思います」 こう渡辺さんは分析します。 時代が変われば環境が変わり、マナーが変わり、人が変わっていくのも仕方のないことかもしれませんが、なんとか若年性老害ゴルファー化を食い止めることはできないものでしょうか。 渡辺さんがヒントを一つ授けてくれました。 「最近スポーツの記事で知ったのですが、メジャーリーグの大谷翔平選手は、打席に入るときに審判の名前を呼ぶそうです。具体的には書いてありませんでしたが、『ハーイ、〇〇さん!(お元気ですか?)』のような感じでしょうか」 「私はこのエピソードを読み、“ラポール”というフランス語を思い浮かべました。もともと心理学で使われていた言葉がしだいに人間関係やビジネスにも広まったのですが、ラポールは橋をかける、つまり人とのつながりや円滑な人間関係を築くことを意味します。見事な“大谷流ラポール”ですよね」 ゴルフなら、相手の名前でも、あいさつでも、「ナイスショット!」のかけ声でもOK。 まずは身近から、ひと言から、人とのつながりを意識して同伴プレーヤーの心に橋(声)をかけてはいかがでしょうか。
野上雅子