後継者不在で休止状態の窯元がイベント開催 島根県安来市の「母里窯」 江戸から明治にかけて地区内に複数の窯元 「自分の作品を焼く体験をしてほしい」
後継者不在で休止状態にある窯元・母里窯(島根県安来市伯太町東母里)で、市民の作品を焼き、陶芸の魅力を発信するイベントが2、3の両日、開かれている。31日は、作品を窯に入れ、2日の火入れに備えた。 母里窯は、江戸時代後期に母里藩が日用品の陶器を自給しようと開いた。江戸から明治にかけて地区内に複数の窯元があった時期もあるが、その後に廃れ1カ所になった。2000年に発生した鳥取県西部地震の被災を乗り越えたものの、13年に5代目当主が亡くなり、窯の火が消えた。 歴史ある窯元の復活と後継者探しを兼ね、地元住民でつくる実行委員会が22年にイベント「もりもり炎まつり」を始め毎年、市民の作品を登り窯で焼く。 31日は実行委メンバー5人が、陶芸教室の愛好者や子どもたちが作ったわん、皿などを窯に入れた。イベントではまきをくべる体験もでき、実行委の稲田郷会長(79)は「自分の作品を焼く体験をしてほしい」と話した。
2日午前10時に火入れし、約千点が3日夕に焼き上がる。窯出しは15日を予定する。現地では手打ちそばや陶磁器の販売、豚汁の無料配布もある。駐車場はなく、近くの市役所伯太庁舎に車を止めて徒歩で来場する。