岩田剛典が明かす、朝ドラ『虎に翼』“衝撃シーン”の撮影秘話。フェス出番直後の本人を直撃
初の朝ドラ出演で話題の「マトリックス落ち」場面
――ツアーの一方、初出演の朝ドラ『虎に翼』と日曜劇場『アンチヒーロー』もそれぞれ大きな話題です。『虎に翼』の法学生・花岡悟役で特に印象深かったのが、第4週第18回。明律大学の面々でハイキングに出かけ、伊藤沙莉さん扮する主人公・猪爪寅子に小突かれた花岡が、崖から落下する場面です。宙を泳ぐような動きで不思議な画面でした。撮影中はどんな感覚だったんですか? 岩田:その日の撮影分を撮り終わり、僕だけ残って日没ぎりぎりの時間帯で撮り切った場面です。確かに合成したような画面に見えるのですが、実際にはワイヤーアクションで後ろから引っ張られています。ほんとうに不思議な画面ですよね。演技をしているときは、これがいったい、どんな画になるか、まったく想像できませんでした(笑)。 ――ゲスト出演した『朝イチ』(NHK総合、4月26日放送)では「マトリックス落ち」と形容していました。映画つながりで言うと、あれは間違いなくアルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』(1960年)で探偵が階段から落下する場面と似ているなと思いました。 岩田:なるほど、言われてみると、確かにそう見える画面でしたね。 ――『アンチヒーロー』では、殺人事件で起訴され、無罪になった緋山啓太を演じています。緋山役は台詞が極端に少なく寒々しい印象で、花岡役の演技とのギャップがネット上を騒がせています。岩田さん自身、かなり意識的にコントラストをつけて演じているんですか? 岩田:花岡役と緋山役のコントラストについてはよく比較されていますが、『虎に翼』は2023年9月からの撮影で、実は『アンチヒーロー』と同時進行で撮影していたわけではありません。撮影のスケジュールが重なる時期も多少はありましたが、僕としてはまったく別の役として、それぞれの役に別個で向き合いながら、演じています。
ラジオ番組『岩田剛典 サステナ*デイズ』で紹介する作品
――花岡役と緋山役はどちらもまったく無駄がない演技だと思います。その意味で、初のレギュラーラジオ番組『岩田剛典 サステナ*デイズ supported by 日本製紙クレシア』(TOKYO FM)初回放送(4月6日)で、レオナルド・ディカプリオの演技を紹介していたことがヒントになりました。 岩田:そんなところまで(笑)。 ――と言うのも、ディカプリオの演技もまた無駄がなく、古典的ハリウッド映画俳優の系譜にある人で、花岡を演じる岩田さんから感じる古典的佇まいは、ディカプリオ的な演技をレファレンスにしているのではないかと勝手に想像してしまったんですが……。 岩田:『岩田剛典 サステナ*デイズ』では、「Something For Tomorrow」と題して僕がお気に入りの作品をひとつ紹介しています。でも毎週となると、これが結構大変なんです。 マーティン・スコセッシが監督した『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』(2013年)は泥臭い作風で、ほんとうに酔っ払っているんじゃないかと感じさせるディカプリオの演技が素晴らしくて、初回放送で紹介させてもらいました。でもすみません、だからといって花岡を演じるための役作りとしてディカプリオの演技を参考にしていたわけではありません(笑)。 ――そうでしたか(笑)。『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)でスコセッシとタッグを組んで以来、ディカプリオは常に過去の人物を演じています。それが古典的な佇まいと人物の時代設定の上で花岡役の岩田さんに通じているのかなと。すみません、考え過ぎですね。 岩田:いえいえ。僕が演じた役、そしてその作品をご覧になった方それぞれに解釈いただけるのはありがたいことです。そうやって考察しながら見ると作品がより楽しくなりますよね。俳優としての僕が役作りで特定の映画の演技を参考にすることはあまりありませんが、でも潜在的というか、無意識的に影響を受けていることはあると思います。 これは演技についてではありませんが、例えば、1stアルバム『The Chocolate Box』のコンセプトを考えていたとき、何かしゃれたことをやりたいなと思っていたら、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994年)の有名な台詞が頭に浮かんだり。 ――岩田さんが好きな作品を知ることができるのは、ファンにはたまらないと思います。 岩田:ありがとうございます。『岩田剛典 サステナ*デイズ』では、出来る限り、僕が個人的にいいと思った作品を素直にオススメしていきたいです。