児童作家の角野栄子を体感!「魔法の文学館」の“いちご色”の建築空間の全貌とは?
宮崎駿の手で映画化もされた『魔女の宅急便』の著者として世界的に知られる、児童作家の角野栄子。彼女の豊かな想像力で紡ぎ出される物語の世界を体感できるミュージアム「魔法の文学館」が、2023年11月に、東京・旧江戸川のほとりにあるなぎさ公園内に完成した。設計は隈研吾が担当。地上3階建ての建物とランドスケープ、内部の展示空間が一体となり、角野の世界観が表現されている。 【画像多数】「魔法の文学館」の“いちご色”の建築空間 なだらかな丘の中腹に佇む純白の建物は、桜やツツジ、ケヤキなど、四季折々に変化する園内の樹木に寄り添うように、小さな箱を並べた外観が特徴的。「フラワールーフ」と名付けられた軽やかな屋根がかけられ、建築そのものが花びらを連想させる。 館内に入ると『魔女の宅急便』の舞台「コリコの町」が出迎える。家型をモチーフに、テーマカラーでもある“いちご色”で彩られた目にも鮮やかな空間だ。1~2階にかけては、4面映像シアターやギャラリー、アトリエなど、子どもたちが能動的に過ごせる居場所がちりばめられており、なかでもライブラリーは角野自らが選書した約1万冊の世界の児童書や絵本が無作為に並べられ、思いがけない本との出合いが体験できる。館内を移動するたびに五感で楽しめる非日常空間が、子どもから大人まで、豊かな想像力を育んでくれるに違いない。
魔法の文学館 住所:東京都江戸川区南葛西7-3-1 なぎさ公園内 TEL:03-6661-3911 開館時間:9時30分~17時30分 ※入館は閉館1時間前まで 休館日:火曜日 料金:一般¥700 【設計者】隈研吾建築都市設計事務所 建築家の隈研吾は、 1954年神奈川県生まれ。東京大学大学院建築学科修了。90年、隈研吾建築都市設計事務所を設立。2019年に竣工した国立競技場の設計に携わったほか、紫綬褒章をはじめ受賞多数。
※この記事はPen 2024年3月号より再編集した記事です。
文:佐藤季代