文化財が政争の具に?! 移築にNOを突き付けた市議会の思惑 イコモスが現地保存求める「旧門司駅の遺構」
老朽化した図書館や区役所などを1か所にまとめて整備するー。福岡県北九州市が建設を計画していた予定地から歴史的価値が高いとされる鉄道遺構が見つかったことから、市長と議会の対立が浮き彫りになっています。保存なのか建設推進なのか、市民には真意が分かりにくいまま、移築も現地保存もされない公算が高くなりました。
複合公共施設の建設予定地から鉄道遺構を発見
約60年前に建てられ老朽化している北九州市立門司図書館。それに加えて耐震性に問題がある市民会館、区役所などの公共施設を一つにまとめて建設する計画を北九州市は進めています。 市民「図書館が新しくなるのは良いかな。今の図書館は怖くて行きにくい」 その複合公共施設の建設予定地で鉄道遺構が見つかったことが問題を複雑にしています。 門司区民 「施設も古くなっているので、子供たちもひとつにまとまると、使いやすくなるのでは」 門司区民 「古い町で人口も少なくなっているので、昔のもの(旧門司駅の遺構)は残してほしい」
北九州市「一部を移築」方針 2000万円計上
北九州市で見つかった「旧門司駅」の遺構について市は、一部移築という方針を打ち出し 補正予算案に「移築費用」として2000万円を計上しました。
イコモスは現地保存を要望
一方、ユネスコの諮問機関であるイコモスは、「見つかった遺構は歴史的価値が極めて高い」と分析、2月22日、市に現地保存を要望しています。
市議会は「記録だけ残し施設建設」の修正動議
この北九州市の一部移築という方針に対し「待った」をかけたのが、市議会です。 異を唱える議員の集まりには、旧民主党系の市議の姿もありました。 市議会は3月8日、遺構の一部を移築する費用2000万円を削除する修正動議を可決。遺構は移築せず、記録だけを残して複合公共施設の建設を求めるものとなっています。 記者 Q遺構は保存すべき? ハートフル北九州 森結実子市議 「現地保存求めないつもりでおります。区民の皆様の要望であるのであればそこに(複合公共施設を)建てるべきと考えています」 自民党・無所属の会 鷹木研一郎副団長 「記録はしていただきます。現地に遺構の保存は求めません。早急に現地に建設を求めていきます」 この議決には保存を求める議員も賛成していて、北九州市の関係者は「同床異夢」との見方を示しています。